BLUE DROP 〜天使達の戯曲〜 第13話「Rosmarinus」

 あぁ、やっぱり劇は…。
 感動的な〆。よくあるパターンの寄せ集めではあるんだろうけど、むしろ定石を守っているだけに思いっきり泣けました。しかしSF設定だとかアルメとか何のメタファーなんだろうね?。ユダヤ名といっても単純にそうだというには情報が足んないというか。シバリエルとか別にユダヤっていうよりは民草をイジめてやまない旧来からの日本の指導者層のあり方そのものだしな。
 しかし上空をアルメの侵攻部隊に埋め尽くされているのに希望うんたらというのはなんと言ったらよいのか不思議な気持ちにはさせられます。いや、マリは攻撃で中断された「オルレアンの少女」を最後まで演じた*1…ということなんでしょうけど。ジャンヌダルクはフランスを救ったんだっけ?。アニメの描写だと30年間アルメの攻撃を食い止めて和平…のようにも見えるんですが。
 最終回ということを考えてみると、なるほど今まで築き上げてきた絆の喪失という点でよくできていたように思う。学園生活を彩ってきた、みち子以外のサブキャラが風景化していて物足りない感じはするのだが、焦点を絞り込むという点では正解だしな。エピローグにみち子、ツバエル、アザナエルが登場していて、マリがいなかった意図が良くわかんないな。そこらへん視聴者で勝手に想像してくださいってことなんだろうか。
 さて、全体を通じてだが、途中退屈したようなしなかったような印象を受けたが、終わってみればなかなかにしてよくまとまっており、まだこの物語に埋め込まれたものを把握しているわけでもないんだが、完成度は充分高いと思った。萩乃のマリの絆を軸に、償い・赦し・共生・誤解・信頼…いやぁもう書き綴っていくときりがないのでやめておきますが、いろんな要素が散りばめられていて盛りだくさん。百合と見てもいいし、男の世界を女性キャラで置き換えた青春モノとしてみてもそんなに違和感は感じない。
 CG絵は情緒に欠けるんだけど、印象深い構図にしてあるのは悪くない。音楽も透明度が高く、世界観をよく表現できているし、なにより声優の演技を押し出してそれがいい効果をもたらしている。まぁ単純に高級食材をふんだんに使ったまっとうな高級料理を食べているような感じですかね。個々のツッコみどころとかはまぁほんとに些細なことで。
 しかし、普遍的なテーマを取り揃えてそれを美しく調理しているとは感じられたんだけど、冒頭に述べたとおり、現代社会や問題とリンクさせて問題を提起しているのか?とかという視点は、自分の読解力が足らないせいかもしれないんだが読み取れなかった。まぁそれやると泥臭くなって折角の高級料理が野暮ったくなるわけなんだが。埋め込まれていないかもしれないし、埋め込まれていたとしてもほとんど気付かないように処理されているとかそこらへん?。
 個人的に勝手な期待をしていただけで、むしろダメな作品なのかもという危惧も大いに感じながら視聴リストに入れたんですが、よかったですよ〜。原作はなんかエロも意識した新感覚作品っぽいのだが、正統的なつくりでもしかすると原作よりアニメのほうを評価するかもしれない。原作をチェックする機会があるかどうかわかりませんが。おもろ+ということで。

*1:ツバエルを追ん出した後のエカリルの台詞「いかなる刃をもって…」もそうなんだろう。