この青空に約束を― 〜ようこそつぐみ寮へ〜 第13話「約束の日」

 航、ピアノが弾けるんだ。
 最終回としては凛奈がメインヒロインか?と思わせて、みごとな並列っぷり。まぁ最後航に抱きつくからには…って感じもしましたがね。単純に初回登場の割には寮との関わりが薄かったので補強したってとこですかね。Bパートで感動の卒寮式は順当というもの。ものたりないということも無いし、あとくされなく〆ることができていたと思う.
 総評としては、http://d.hatena.ne.jp/corydalis/20070616/1182000052でもちょっと触れたように、6人のヒロインが誰がメインということなく並列に取り扱われていたということがちょっと新鮮だった。どうも商業的にはBeatlesが嚆矢らしいのだが、桐島沙衣里が弱いものの、エロゲ原作らしく視聴者の好きにメインヒロインを各自決めちゃってくださいとも受け取れる。
 ただし、ヒロインの順番はまったくランダムなのか?と言われれば、どうもというかなるほどというかやっぱり“つぐみ寮”が軸となって展開されているように思える。導入の凛奈編では既にかけがえの無い場所として成立していたつぐみ寮に新人が入ってくることで紹介になっている。つぐみ寮の由来として宮穂編があり、つぐみ寮のアジールの役割としての静編があり、つぐみ寮が人を成長させる場としての海己編があり、危機に陥ったつぐみ寮を守るイベントとして沙衣里編があり、これからもつぐみ寮が存続していくことの流れとして生徒会長編がありーのと、よくよく考えてみればこれ以外の順番はありえないくらいの構成となっている。別にヒロインの強弱で考えられているわけではないようである。
 エロゲ原作ながらお色気もかなり控えめで、ちゃんと青春モノとして成立しているのが爽やかであったのだが、実は自分があまりエロゲ原作モノを数視聴していないので、これが普通だったりするのかな?。エピソード自体としてはありふれたものなんだけど、ありきたりだからダメってこともなく視聴者の意図をスカしてくるところ、安易な萌え記号に頼っていないところなんかは決して惰性には陥っていないと思う。皆無ではないんだけど、社会批判って側面は薄いかな。でも社会問題に対する意識はちゃんとあって、受け皿的な描写はされていたように思う。あんまりしゃちほこばっていないし、身の丈にあったような気がして(それでもキレイごとなんですけどね)世界観に浸れるのはよかったかな。地に足がついたというほどではないが、決して実現不可能ではないってとこがね、また泣かせるんですよ。
 そういうわけで、低予算アニメっぽいのではありますが、私的にはかなり楽しませてもらいました。正直まなびストレートあたりからの寮の描写が気になっていた程度で視聴対象にしていたので、ほとんど期待していなかったわけですよ。どうせハーレムアニメだろ?みたいな馬鹿にした感じで視聴開始でしたし。しかし航が狂言回しっぽい役割で、萌えというか色気要素を前面に押し出してこなかったのが、そういう期待を裏切る結果となりました。ヒロインのかわいさに視聴者を耽溺させることなく、ちゃんと考えさせるような構成になってる。
 というわけで、ホントダメアニメという期待を裏切ってくれた作品でした。OP・EDも歌詞が今一なんですが、どちらもメロディがお気に入りです。絵はさすがに金がかかってないですが、まぁそこらへんは気にしないということで。思い入れがあるので評価を高くしたいんだけど、偏見を持つ人も多かろうから、おもろぐらいが評価としては適切なんだろうなと思います。でも大好きな作品ですよ。スタッフの皆さんはおつかれさまでした。