ぺとぺとさん 第2話「特定種族」

 迷う出来ですなぁ。狙いがあざといのが気になるんですが、「涼風」と同じように懐かしさを催してきます。心象の悪い作品ではないのですが人に勧めるほどのものでもなし。しかし私的にはスターシップ・オペレーターズに匹敵する作品なのです。
 原作未読なのですが、今回の描写は原作にもあるんでしょうか。ラノベ出身の作品でも、「撲殺天使ドクロちゃん」が初めから(たぶん終わりまで)ドタバタアニメなのに対し、「ぺとぺとさん」が萌え&和みアニメでありながら、ひょっとすると何か別に伝えたいものでもあるのか?と思ってしまうのです。
 第2話を見てそう思ってしまったのは大体において次の3つぐらいでしょうか。

  • 田舎だと思ったら、コンビニがあったこと。
  • 赤沢の進路の場面に「戦う」という表現があったこと。妙に担任が世慣れしていること。
  • 妖怪を気味悪がる場面があったこと。

 田舎というよりは、地方都市といった感じのところでしょうか。本当の田舎はコンビにすらなく当然子供が少ないから、あのような学校もない。大都市ではないけれど、あのくらいの描写の地方は数多くあると思います。関東に人口の大部分が集中するという状況なので、むしろ日本全体を俯瞰するとありふれた景色なのではないでしょうか。どこかのサイトに田舎&妖怪を題材にしたアニメはありふれているとか書いてありましたが、これはむしろ安直な田舎像は避けているようにも見えてしまいます。
 次の2点ですが、妖怪というものが「特定種族」という名称になっており、人間から差別される存在になっているという設定がポイントでしょうか。鳩子をはじめとする特定種族の方々が妙に自分の特殊技能に対して自覚的である(もちろん紹介という側面もあり)のが面白い。そして今話の描写が町の人々が特殊技能に対して気味悪がっているのではなく、ただただ妖怪であるということのみをもって毛嫌いしているというのが気になりました。
 神話の登場人物や鬼や妖怪などはどういった起源をもつのか。神話などは民族が形作られる過程で、実際に起こった出来事や人物などが神話が更新されるごとに抽象化&誇張&脚色されたものではないかと常々考えております。(口承なので変化するのはあたりまえ。物事を単純化&抽象化することで覚え易くもなるでしょうし。)鬼や妖怪の起源も、明確にこれだという解答はないと思うのですが、人間の持つ性質のある部分を誇張したところはないだろうかと考えております。もしかすると妖怪のあるものは実在する(した)のかもしれませんけど。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがある通り、人間が持つ恐怖心などが心理的に妖怪というものを創り出してしまったのかもしれません。河童とはいうけれど沙原くぐるなんてただの水泳ヲタクじゃんと言ってしまえばそうで、それ以外の部分ではただのアネゴ肌の普通の女の子なわけで。
 もしくは社会の構成員の中での異質なものを妖怪と断じているのかもしれません。昔、西洋人を毛唐と呼んだように、異邦人などを異質なものと見なして気味悪がっているのかも。いまや外国人労働者問題は日本にも確実に存在し、違った文化との衝突はまぬがれないわけです。また世代間の考え方の違い(オタクやNEETなど)ももしかすると今までの日本人の全体像を狂わせているのかもしれないわけです。そういった「同じ人間なのに」違ったものを妖怪として心理的に排除するような機構が人間の中にあるかもしれないわけです。
 この作品が何を妖怪、何を人間と規定して、両者の違いをどのように際立たせた上で共生というテーマを取り扱っていくのか楽しみなところではあります。