にごりり#8

 商業レイヤーと出会う話。ナニコレwww。なんか勢いが全然衰えないな。ヒロインがなんか悩んでるようだけど、これはミスリードのような気はする。ファッションモデルは着る服に思い入れをもつというのもヘンで、ならレイヤーもクライアントの案件を選んでなどいられない。だからこそ好きを職業にするのはやめとけって言説もすごくわかりやすく提示されてる。キャラに思い入れがあるのなら趣味でやるのが当然で、キャラにこだわる限り一般的な人気が衰えたら職業としてやっていけるはずもないから、ヒロインがキャラに思い入れを持ってコスプレをするんだったらそれはそのまま楽しめばいいだけの話なんだよな。
 先生の立ち位置も絶妙で、コスプレに対する一般的な認知を冷静に語らせて大人の世界を持ち込むのは他作品にないわけではないけど、この手の作品では珍しい。こういう視点を持ち込むと普通読者の没入感を妨げるので、こういうキャラ自体をそもそも登場させないとか、ワンポイントでツッコむ程度なんだよな。
 活動実績報告書の話も冷静に考えるとオカシイんだけど、お話会でメデタシメデタシで終わるのではなく、しかも他者にダメ出しさせるのでもなく、自分から破棄というのもちょっと驚いたし、子供だからこそコスプレに対するヘンな先入観がないから、主人公達がそれで教えられる結果になったという話立てもなかなかのもの。
 いやぁ、ホントご都合主義メインでしかも内輪ウケに終始するんだろうなと思ってたから、結構考えさせられる内容が詰め込まれて意外に楽しめる。あんまり普遍性のあるテーマに関しての主張ではないからターゲット層は広めにとれないんだけど、それでも社会的に大人になる際にヒトは何を背負い、何を捨てさせられるのか?と考えると、それなりに一般性は持っているんだよな。