ひげひろ#2・3

 主人公が据え膳を食わぬ話。あー、なるほど贈与論にもってくるわけか。まぁそういう切り口がないと据え膳食っちゃって凡百の作品で終わるわな。というか、贈与論にしたところでそんなにオリジナリティが出るわけでもないが。
 例えば、人間生まれてすぐの赤ん坊だと、もう一方的に贈与を受ける側にしかなれないわけで、年齢を重ねるにつれ贈与には贈与で返すようになってくるわけだが、成人してない若者はいちおう贈与を受ける側であると認められてる。主人公はその建前を守ってるだけではあるのだが、ところが今や社会は贈与というよりはほぼ交換が原則になってしまって*1いて、ヒロインもそれに染まってるという形になってる。リアリティからするとむしろ主人公のあり方のほうがありえないというわけなのだが、それだとメッセージ性につながらないからこういう提示になってるんだろう。友崎がむしろ恋愛工学を軸にした後期資本主義社会での生き抜き方がテーマだったのに対し、これはむしろ前近代方向*2の見直しみたいな、ある意味共同体を取り戻す方向性なのかなと思わなくもない。主人公の勤務してる会社も昔ながらのメンバーシップ型のような趣だし、#3のヒキも、やはり結局のところ新婚家庭のメタファーなのはまんま*3だしで、ただ、初期にこれだけ結論に近いことを言ってしまったら、メロドラマを入れて波乱要素を埋め込みながらも、結局ダラダラ日常を続けていくしかないのかなとも思う。

恋きも#3

 クリスマスプレゼントを通じて二人が親交を深める話。あーなんかこの作品がウケるのがわかるような気はするわ。男めせんだと、チャラ男が身持ちをかたくするという話だし、女めせんでは浮名を流してたイケメンが、少女漫画における読者の分身たるさえない女と真実の恋に目覚める話で、イケメンはイケメンで浮名を流さないのならそれは男としての魅力に欠けるから精一杯モテてなくちゃならないし、サエない主人公も本当に冴えないんじゃなくて、実は地味男くんに想われるほどには女としての魅力は(他人にはそう見えてないだけで)決してないわけではないんですよ…と、もうこの上ないほどの読者おもてなし構造。かといってそういう女の妄想ストーリーを男の自分が見てつまらないか?といわれたらそうでもないので、そのへんマーケティングが上手いというかなんというか。
 しかし妹、コミュ力高すぎ。兄の応援が根底にあるにせよ、周囲のキャラの感情の捌き方がうまいのなんの。経営者的には顧客を騙くらかしてもこちらの要求を飲ませる、そういう雰囲気を醸成するのをコミュ力といってるのだろうが、そういうのは共同体、末には社会を破壊するので割と勘違いされてることでもある。
 しかし、EDなんで金魚草なのかと思ってたら花言葉の裏表がそれぞれ相手と主人公でダブルミーニングになってるからか。花言葉の認知度なんてたかがしれてるけど、こういうディテールに配慮してるってのもテクニックとしてはうまくできてるんだろうなという感じ。

変わり種スパ反省会

 昨日はビーツ根のみスパ、今日はタラの芽スパの再戦。
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 タラの芽のほうは画像なし。やはり購入してから日が経ったせいかしおれてた。どちらも肉出汁は半端モノハム。
 ビーツ根のほうは、唐辛子を使わなかったせいか味のチグハグさは緩和されてた。ちょっと色気を出してパルメザンチーズを入れてみたが、たしかに味わいは悪くないしコクは出る、香りもそれなりに本格的になる…とメリットは大きいのだが、量は多くないのに500円近くもするからコストパフォーマンスは極めて悪い。
 タラの芽のほうも唐辛子を使わなかったのだが、元々がそんなに違和感がないので代わり映えはしない。もうちょっと香りが高いなり、違和感がない程度にエグみが強かったりする方が個性が出るとは思うが、物足りなさを感じてしまうのは贅沢なんだろうなという感じ。
 どちらも唐辛子を使わなかったのだが、ハムのほうが、元々黒コショウをまぶしてあるやつで、いわばコショウが振りかけてある状態にはなってる。ただ、唐辛子を入れてしまうと全体がピリリと引き締まる代わりに素材の味を殺してしまうわけで、そういうのがないあたり、塩梅は良い感じ。とはいえ、本当に素材の味を際立たせたいならそのコショウもないほうがいいし、もっといえば肉成分もないほうが良いような気もする。まぁ結論として、ビーツもタラの芽も個人的にはオッケーな具材ということが確認できたといったところか。

ラミー サファリ到着

 前にアルスターを購入したというエントリーを上げたが、
corydalis.hatenadiary.org

 実はそれより前に注文してた本命のサファリのほうがやっとのことで到着。

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 今年の限定カラーは、サファリが新発売された当初のカラーを再現したもの。当時はこのカラーのおかげで人気が出ず、原色カラーに変えたら大売れだったらしい。自分は発売当初のコレを持っていたのだが、湯で洗浄してニブを痛めてしまい、いつかニブ交換をと考えていたのだが、捨てた記憶はないのに見つからずにいた。なので、再販されるのを待っていたと言える。それが今回の限定カラーの扱い。公式の発表ではコロナ禍で元気づける意味を込めたとあるので、本当なら50周年記念ぐらいに限定カラーで出すつもりなのを前倒ししたんだろうなと思っている。
 見た感じ、なんか色は若干暗い感じはする。手元に初回販売の現物がないから自分の記憶違いかもという気はするが、そのへんよくわからん。


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 コンバータも同時購入。二種類あって回転部が赤のやつが便利。差込口に近い側面に突起があって、万年筆に差し込んだ時、回転部を回しても供回りしない構造。回転部が黒のやつは突起がなくて、おそらくそういう配慮のない古い万年筆用だと思われるが、それはコンバータ本体と回転部を別々に持たないと差込部で回ってしまい、インクを吸えない可能性がある。

 購入したのはミコペンさん。ネット通販では最安値ではなかろうか。サイト下部のレイアウトが数年前の中華詐欺サイトのような見かけなのでちょっと心配してた。当初の発送予定が先月末なのに、入荷遅れで結局こんなに待たされることになってしまい、実は発送連絡が来るまでヒヤヒヤしてた。いち早く入手してブログなんかで公開してた記事を目にしてたら、発売当初の箱に似せたオリジナル箱に入ってたというものもあったので若干期待もしてたのだけども、万年筆とボールペンのセットか、銀座伊東屋あたりの定価販売の店でのサービスなんだろうと思う。自分が学生なら、そのオリジナル箱も筆箱の代わりとして使用することもできるんだが、今だとそういう機会もないしそれで高くなるのもアレなので羨ましくはあるけどゴミになるということで。自分が見た記事だと万年筆二本で箱もつけてくれたとあったが…。
 しかし、アルスターを出してしまってる以上、インクを入れっぱにして長期保存するのも悪手なのでサファリも基本押し入れの肥やしにしかならないんだろうなという。

*1:日本の場合上部構造はほぼ贈与を行わず、略奪しかしてない世界的にも珍しい社会になってしまったのだが

*2:ただし中世とは限らない

*3:落語なんかでも男やもめに嫁がきて生活が潤う話なんてあるわけで