モン娘医#3

 くっころツンデレ娘の担当回。話としては少々凡庸なのだけど、逆にその分今回登場のキャラクターの設定に意味が込められてる感じ。異種族が集う都市はなんか長らく神聖ローマ帝国の首都だったウィーンを彷彿とさせる。まぁ強い力を持つドラゴンが首長を務めてるってところは各国の代表の統合の象徴としてのまさに神聖ローマ帝国っぽいし、まぁこの話では別に帝国の首都って感じはしないからフツーに自由都市だとは思うが、それにしても別に街がそうなりたいからその思いで出来たんじゃなくて、自由都市として成立する後ろ盾はちゃんとあったということらしい。
 あと、やはり今回の主役のフレッシュゴーレム。死肉を合体させて作られた合成人間のようだが、つなぎ合わされたそれぞれのパーツは驚くべきことに元々筋肉部分しか縫合されてなかったという。これの象徴的なところは、もともと一人の人間のバラバラ死体を復元したってことではなくて、おそらく人格の異なるパーツが合体してること。「違う」という要素が一人の個体として構成されてるってことが、異種族が集い合って一つの国(都市)を作り上げているって感じで、領主が彼女を護衛として筆頭の位置につけてるのもそういう意志の表明なんだろうと思わされる。普通護衛というのは名前が知られる必要性は全然ないわけで、町の人間の誰もが知ってるってことはそういう意図があると思うべき。
 しかも、上記筋肉だけ縫合ってことは、これ、異なる者たちが単に活動の場を同じくしてるだけであって、各部が有機的に繋がり合って連携しているわけではないってこと。それが今回主人公が血管も神経も縫合して、それで以前より具合が良くなったということなんだから、単に違うものを寄せ集めるだけではパフォーマンスを発揮できず、それぞれ各部が必要性に応じて強いつながりを持ったり、他部とも連携する必要性があるってことで、これは異民族が集まってもそれだけではうまく機能しないってことのメタファーでもあるってことだろう。まぁこれを機に、苦無さんは主人公にもう一度身体全体をつなぎ合わせて貰ったら?という気がしないでもないが、そのへんは話を保たせるために今は保留って感じなのかね。