聖剣の刀鍛冶 第8話

 唆されたとわかっていたんだ…。
 結論を待ってみるとなんだかなぁと。シャーロット視点だと、ちょっと物分かりの悪い、が人生最大の壁にぶち当たってちょっと挫けちゃいました…って感じで良くできてる。で、シーグフリードというか帝国というか、都市介入のための仕掛けたって設定もよく出来てた。ハウスマン達の大人の対応も、ごくごく真っ当。“グンコク”とかいってたけど、軍国?、群国?。そこへハウスマン達が交渉して話を取り付けたってのも何気に凄いことなんだが。そういう仕組みが昔から都市にあったんだろうと思うけどな。
 春秋戦国期の古代中国ぐらいだと、諸侯の王子たちは亡命というか人質として各国に散らばっていたわけで、本国で元首が死ぬと真っ先に祖国に帰ったものが王位についたりしてた。競り合いに勝った斉の桓公とか年寄りになるまで流浪していた晋の文公とか。しかし、シャーロットはちょっと帝位継承権からするとほとんど目がないわな。グンコクがシャーロットを支援して、帝国有事の際にはシャーロット帰還の労を取り、よりよい関係を結ぶというメリットが全然ない。だから帝国の情報を売れというのだろう。まぁ自分だったら生き延びるためというよりは、むしろ仕返しに進んで帝国を売ったりすると思うがな。
 帝国の思惑が、シャーロットを唆して、都市が彼女を庇えば、それに乗じて武力介入することだった以上、その用のなくなったシャーロットを帝国が深追いすることもないだろうということまで考えると、なかなか練られている脚本だったと思う。有用な帝国内部の情報の一つや二つ提供すれば、グンコクもシャーロット達を平民扱いしないだろうし、皇族の亡命というタテマエで契約を交わした以上、かなりの好待遇が死ぬまで続くであろうし。
 で、もちろんメインはセシリーの、拳で語り合うって漢っぷり。シャーロットの護衛を上回る働きっぷりだったのは出来すぎだが、これも彼女の成長をあらわすのかな?。結果からするとセシリーが自分の思いを貫くのに必要な、強くなるための鍛錬をしており、それが適宜結実しているってことになる。実際にトレーニングの描写もあるし。
 で、ルークやリサなどの助言も的を得ていてすっきり。無駄がないんだよ。ちょっとばかしおちゃらけてみたりして視聴者に媚びてもいいんだろうけど、しない。ま、非常に真面目なつくりだわな。遊びがある作品も好きだけど、今はこういうのにグッとくる。
 リサはルークを呼び捨てだけど、セシリー達には敬称をつけてるんだよな…。やっぱこのリサの世話女房的な性格付け、いいわ〜。