シャチバト#12

 え、ちょ、ミナトの水着!。ミナトの前社の話も無難に終わり、マジュの退治もそこそこに、挙句の果てには女神への願いもなんかトホホな感じで、フザケてるわけではないのだろうが、どこまでシリアスなのかはかりかねる展開でEND。まぁ大方想像通りで、それは自分に限らず、ほとんどの視聴者も思っていたことなのでは。経営者側に甘い判断なのも、今現在報道(自分の場合ほとんどネット速報やラジオのみだが)では経営者側の違法性が取り沙汰されることが多いし、それは別にこのアニメを作ってるときもそうだったのだと思うのでもうちょっとなんとかならなかったものかと思うが、ゲームの方はユーザー側は経営者目線だろうし、そうであるならば、むしろしらずしらずのうちにゲームユニットを社畜同様の扱いをしてしまうこともあるかもしれないしで、そのへんバランスを取ったということかな。
 この作品を視聴し始めたときはてっきり原作はラノベか漫画だと思っていたので、ゲームだと知ってなかなか感慨深いものがあった。サラリーマンものは年々作るのが難しくなってるんだろうなというのを実感する思い。ブラックジョーク気味のアフリカのサラリーマンもアニメはよっぽど人気がなかったのだろうと思われるが、それでも、わざわざオオハシが生き返って無駄をなくす会議を批判してたことは今なお自分ですら強烈に覚えているから、共感がキーワードなんだろうなという気はする。それでも自分の頭に思い浮かぶ過去作品といえば、サラリーマン金太郎だの島耕作シリーズだのがあり、自分の友人は猛烈に島耕作を批判してたのだが、自分はそこまで言わんでも…とは思ってはいたが、しかし、あれは荒唐無稽なのであって、別に読者の共感を呼ぶために作ったものでもなかろうという感じはする。ただ、こう日々のルーチンワークに消耗してた過去のサラリーマンにとっては、アレをリアリティのあるものとして好意的に見てはいなくても、非日常性をぼんやり味わうものとして、まぁ流し読み程度に引っ掛けるものだったのでは?と今になって思う。
 それが今となってはやたら人事権を振り回す(要するに馘ってこと)管理職が多くなっていて、昔は理不尽な職務命令でも嫌々ながらでもやっていればそれなりに安定していたのが、それすら叶わぬものとなり、それら作品群の荒唐無稽な非日常性が、それこそ見てるだけで息苦しく、ストレスを感じるものとなり、かといってシニカルに批判してみたところで身につまされる思いをするだけの話であって、ならもうちょっと庶民に共感するような方向性でということで企画が立ち上がったのがこのシャチバトなんかなという気はする。ただ、甘ったるい世界を描いたところでそこにリアリティはないのであって、画餅を見せられてもな…と感じてしまう層はいるんじゃなかろうか。結局、サラリーマンもの、試行錯誤していろんな方向性を打ち出したところで、所詮他人事なんだったらなかなか視聴者の胸を打つようなものにはなりにくい時代なんだと思う。
 シャチバトの場合、もう殆どの会社員のかなりの世代はDQやFFなどのJRPGをやったか、最低でもゲームの名前だけは知ってるぐらいにはなってるんで、それらとサラリーマンを組み合わせた安直な設定だなとは思っていたんだけど、最初の数話あたりはまぁそれで認識に間違いはなかったものの、もうちょっとしっとりとした肩寄せ合って生きていく居場所という提示が見えてきたぐらいで、個人的にはそう悪くないもんだなぐらいには思ってた。
 まぁ冷静に考えてみても、全然シナリオの練り込みが足りないようには思うが、とはいえ、仮にその練り込みがちゃんとなされて、せっかく日々の労働の辛さや無意味さを「忘れる」ために視聴しているのに、やたら社会の不条理や会社組織の理不尽さをえぐってみせても、威勢のいい理想を示して見果てぬ夢を見させても、それは視聴者のストレスを増幅することでしかなくって何の益もないのかなと考えると、ナンセンスとは言わないまでも、こうぼんやりした共感を示す程度ってバランスはそう悪くないのかもね。