異世界食堂 第5話

 話自体はそんなに悪くはないんだけどな。
 とはいえ、やはり何ゆえファンタジー世界が舞台なのか。出てくるゲストキャラはなんのかんの言って人の形がモデルだし、その理由が読者にとって人の形に似せて馴染みやすいものにしているという以上のものがあるのかどうか。まったくの昆虫型とか人どころかまったく想像できないような姿かたちでないというのはまぁそういうことなんだろうが、何かしらの人情話になっていて、ならなんで人間直球で描かないのかとすら思う。
 たゞ、やはりこの作品がアニメにもなるぐらいだから、前述したとおり、それなりに人気があるなり、アニメ製作側がそれを見越して映像化したのだろうから、その理由よな。一つ考えられるのが労働環境とか生活環境の悪化で、リアリティを増せば増すほどそれは辛い現実を想起させるので、そんなものをわざわざ見なくても現実だけで間に合ってますってところ。深夜食堂なんかは、客の顛末を確かに割れ鍋にとじ蓋とかちょっとしたハッピーエンドにしてはいるのだが、いくつか結局うまくいきませんでしたという結末もある。が、今までこの作品を見てると料理でほだされました、満たされましたって結論ばかりで、料理を食ったけどそれで精神的に癒されませんでしたとか、客にくってかゝられても結局うまくまとまってしまい、トラブルで炎上して店がめちゃくちゃになったとかそんなのはない。で、そういう優しいエピソードが鼻につかないのは、形の上では料理のほうが主役になっているからで、ドラマ部分はあくまで添え物だからというのがあって、これはうまい構成なのかなという気がしないでもない。