響け!ユーフォニアム 第9話

 容赦ないなぁ。
 とはいえ、定員ぎりぎりまで選んでいるはずだから、逆に顧問が厳しかったりする。前にも述べたとおり、標準的な編成というのがあって、楽譜が1st、2nd、3rdとある楽器パートでは例えばTb.だとそれぞれ一本ずつか二本ずつにする。クラリネットClのように主旋律の大部分を担当、しかも金管より一本あたりの音が小さいから数をそろえる必要があって、1〜3それぞれに三本ずつだったりする。発表したのを聞くと楽器パートで五本とかあったから、楽器内と全体とのバランスを考えないといけないのでその統合部分を考え抜くのが大変。夏紀センパイが外れたのはしんどいところで、Euph.はTb.と音域が被る上にEuph.はTb.より音がまろやかなので、全体では音が埋没しやすく曲の輪郭はTb.を入れたほうがはっきりさせやすい。自由曲も迫力重視だからね。前も述べたが、Euph.は1stしかない楽譜が多いので、数要らないというのも不利なところ。Euph.減らしてCl増やすことになりやすい。Tb.は1st〜3rdまで楽譜があれば三本は確定だが、Euph.は最悪一本しかなくてよいことになる。朝練のときに久美子が夏紀の音を褒めていたが、聞きなおしてみると確かにほんのわずかだが夏紀がうまいようにしてる。が、おそらくオーディションでは夏紀も久美子もテストの時間が長いという風に見えたから、そこで差が出たのだろう。経験者とそうでないものゝ差は長丁場での安定性だったりするから、疲れる演奏をさせ続ければ差はやがてはっきり出てしまう。で、確かに夏紀は吹き初めとは違って終わりごろは質が落ちるという演奏になってた。細かいなぁ。
 しかし、このオーディションは部員に競争させて緊張を作り出す、それによって日々の練習の集中力を上げるという点において効果的で、ある意味定員より部員が溢れるぐらいになっているのが運が良かったというか。もし部員数が定員より少なければ、選に漏れた部員が文句を言ったときにガタガタになるし、オーディションまでの練習もメムバーから外れるという恐怖感が激減する分真剣味に欠けるものになるだろう。だから部員が少なかったらおそらくオーディションという手段は取ってなかった可能性は大きい。このような設定だと普段の練習で滝先生は演奏のどの部分が悪いのか、他の部員も納得する形で指導しているから、たとえ部員が少なくてもオーディションをやって恨みは買いながらも乗り越えていくという流れに十分出来るとは思うが。
 まぁ鉄板の展開ではあるんだが、逆に奇を衒わないで地に足が着いた展開だからこそリアリティが揺るぎなく、安心して視聴していられるかな。仮に滝先生が情に流されちゃったら、視聴者もなんだよ〜ヌルいなぁってことになるし。