響け!ユーフォニアム 第11話

 ちょっとこの展開は想定外に近いな。
 しかも先の展開があまり読めないような作り。ヒントを直前に小出しにして視聴者を誘導するのとは違って直球勝負。自分も普通だったら悪者を作らず全員良い人にしてしまってズるいと言うところなんだが、これだと悪者を作らないからこそ競争に迫力が出るので文句のつけようもない。
 ちょっと面白いのは、ホールでの待機時、高坂は久美子の激励を受ける前にわざと負ける決心をしていたのか、それとも負けるつもりはないのだが弱気になっていたのか判断がつかないような描写にしてたこと。自分は前者だと思うが、これは必ずどっちだと断定しなくてはならないものではないとは思う。
 あと、これは悪い意味でズるいかなと思うところではあるが、これ、おそらく日常の練習で二人の演奏は周囲の部員も聞いており、どちらが優れているなんて最初からわかっているはずという視点が必要。でもって複雑なのは、高坂はおそらく学校では終始実力をセーヴして演奏してるはずということ。吹き比べのシーンで高坂の演奏を聞いた部員が驚く描写があるが、あれは別にあの場所で初めて高坂の実力が上だとわかったというのではなく、日常の練習で聞く演奏よりもはるかにレヴェルが高かったから驚いたと判断するほうが自然。が、明確にそうであるという作りにはなってない。
 ちょっとめんどくさいのは、アニメでは実際に音を出さなくてはならないので、音響担当がどのように二人の演奏の差を作り出すかということ。今回は高坂の演奏に若干のヴィブラートをつけて素人に高坂の実力が上だとわかりやすいようにしてた。が、親もトランペット奏者である高坂はヴィブラートを使わなくても十分単音の美しさを出せるはず。が、生の演奏ならともかく、録音してしまったら、その情報は失われる。だからこのような差のつけ方になってしまうのは仕方がないし、そこまで求めるというのも酷なことではある。あと、圧倒的に高坂の演奏がうまいという音作りにしてしまうと、演奏を聴いた途端どちらが勝ったのか明らかになってしまい、生徒に拍手をさせる以降の緊迫感が失われるから、二人の実力が拮抗気味にしたのもちょっとズるいかも。
 が、自分で言っといてなんだが、そのような事柄は瑣末なことである。あと2話しかないからこの第1クールのお話はどう考えても昨年までダメだった部活動がいかにして立ち直ったかというのがメインであって、今回はおそらく一番重要なターニングポイントであるはず。それも別に優秀な顧問が立て直したからよくなったというのではなく、生徒自身にその素養があるからという理由が述べられているはず。今回は特に生徒自身に人間的な強さを持っているからということが示されており、事実上のクライマックスなのではないかと思われる。そこに例えば職務遂行能力の高さが人からの尊敬を勝ちうる条件なのか?とか、人間の本質に迫るいろいろな問いかけなどがちりばめられており、なかなか見ごたえのあるものになっている。