クロスアンジュ 第21話

 キャラを燃料としたブースターを使う使う。
 状況的には楽に脱出できそうだし、実際追いかけっこが始まるまでは簡単にエンブリオの手を逃れていたのだが、エンブリオのチートで何度もアンジュが足止めを喰らうという。このチートがせっかくのドラマ性に水を差すのではあるが、結局上記のようにキャラを燃やしてアンジュが自由になるという展開に重みを増してはいる。なんつーか、犠牲になった二人もまさか生き返ると後で一気に萎えるのでそういうことはないだろうが、ちょっと唐突かな。いや、唐突でポカーンだからこそテキストスタッフとしては大成功と言ったところだとは思うが。
 その展開に目を奪われるのではあるが、むしろ今回の本題はクリスのありようだとは思う。小さいことをうだうだという気がしないでもないが、まぎれもなく人間の尊厳を考えさせるテーマ。小さいことの積み重ねなんだけど、とくに現代社会だとなんでもないような気の遣い合いが社会の重要な潤滑油になってしまっているので、繊細な問題ではあるのだけどもけっして些細なものではないという。 
 あとは転向組が踏みにじられる展開が前回より始まっていてこれもこれからの展開の起爆剤にはなりそう。それから、今回は切断操作が多くて、それが雑な感じがしてちょっと後味悪い。主人公の危機という重大なときに、壮絶な散り方をするってのは確かに物語の手法としては理解できるんだけど、意外なようだとは思われるが、なんでもないようなときにあっさりと散るというほうが実は“らしい”といえる。但しそのようにしてしまうと、エンタメ作品としては視聴者の感情を一時的にでも大きく揺らすということが困難なのでどうしてもやっちまうのではあるが、そのこと一つが志の多寡(高低?深浅?)を決めるといってよいのではないかと思うのである。