時間は遅いが、んHKラジオビジネス展望にて、また慶応大学の駒村が世論をミスリードさせようとしてた。

 初めはペンギンは単体で子育てすると凍え死ぬが、群れで分担してそうならないようにしてるという、イイハナシダナ〜ってのをしてから、結論として、給付式奨学金や待機児童問題の解決など社会保障を充実させるためには増税やむなしという流れにしていてまたかという。どの(自称)経済学者もあまりにも悪質な不正なだけにパナマ文書について触れはするが、そんな問題がありますね程度にしか触れず、だから応分の負担をだとか、罰するべしということには一切触れず、右から左へ流すようにスルーという態度。
 もう大概の(自称であっても)経済学者は、アベノミクスが成功だったというものはおらず、それでも法人税減税のためにどうにか庶民から搾り取れないだろうかと知恵を振り絞っているらしい。社会保障費の充実のためには消費税増税すべしという論がまた繰り返されているのだけども、そして、今や経済政策的にはG7でも他の国から日本は全く相手にされていなかったらしいのだが、いよいよ消費税増税はムリという流れにしないと、マスゴミですら購読者層の信頼を失いかねないという認識になっているようだ。
 正直繰り返すのはダルくてしょうがないのだが、それでも何度でも騙される人がいるようなので、騙す張本人ですら数字はこっそり示してますよということで、
 主要税目の税収(一般会計分)の推移 : 財務省 魚拓
 これで、昭和63年度の税収を見ると、法人税18.0兆、物品税2.2兆、これが平成25年度のを見ると、法人税10.5兆、消費税10.5兆。法人税は18-10.5=7.5兆のdown、消費税(物品税)は2.2-10.8=8.6兆のup。消費税の増税分は全部法人税の穴埋めに使われている。Wikipediaですら法人税率の変更理由が消費税増税とはっきり書かれている。銀行なんて10年以上法人税を払ってこなかったのに、いざ利益が上がってみれば経団連会長の薦めによって、どうせ法人税を払うんだったら優遇してもらった自民盗に賄賂を払って目減りさせとけという行動に出る始末。で、担税力のある企業は実のところ租税回避地にて脱税を行ってきたのだから話にならない。
 社会保障といえば、慶応大学卒のある経営者が

「勤労世代の5人に2人は、納税で社会に貢献するどころか 稼ぎが悪くて社会のお荷物になっているという図式に」

とのたまっていて、たまげた。これ、最近非正規雇用比率が四割の大台に乗せたと報道されてたから、非正規の労働者はほとんど全員社会のお荷物ということを言ってる。しかも

 890〜920万円程度の所得があって初めて 「社会に貢献している人」「税金を納めているからと 文句を言える資格のある人」ということになってしまう

 とのたまっていてさらにたまげた。先ほどの労働者人口から非正規雇用の労働者を差し引けば、のこりは全部正規雇用の労働者という計算になるが、果たして正社員の全員が年収900万であるかというと、どう考えてもそのはずはないわけで、すげぇ煽り入ってんなと思わざるを得ない。それで取り組むべき課題が法人税を下げろだとか消費税の軽減税率などなどだから、ポジゝョントークも大概にせえやといったところ。さらに、

 戦後の高度成長期の蓄えをほとんど使い切った日本は、 どんどん貧しい国になっていく可能性が高く、 衰退期に入りつつある

 とまとめていて、ミスリードのすばらしさに舌を巻く。なぜこれが悪質かというと、かなり間違っているのに一見正しいように見えるからだ。戦後の高度成長期の蓄えがどうなったか?と言えば、それはパナマ文書が示しているように不正蓄財されており、また、そうでなくてもバブル崩壊の際に経営者が溶かしてしまったからだ。もちろんバブル期に成果に見合わない報酬を受け取っていた労働者も居はしたのだが、それは一部の人間であって、例えば地方の労働者はハコモノ行政であぶく銭を掴んだ層以外はほとんど給料が上がってない。それなりの年齢層の人は思い出して欲しいのだが、バブル崩壊時に経営者が首を吊ったという例は極小であって、犠牲になったのは大企業でも中堅の位置にいてたまたまその嵐に出くわしたものか、中小企業が大半だ。特に銀行は、経営状態のよい企業には良い貸し出し実績を上げておらず、経営が中途半端な企業や悪化した企業に対しては悪質な貸し剥がしを行っていた。いざバブルが終わってみれば、バブルが始まる前より経済は悪化しており、では上記のテーマ、高度経済成長期の蓄えはどこへいったの?というのがパナマ文書問題からあぶりだされてくる。要するに、バブル時、もしくはバブル崩壊真っ盛りの間に、つまめるだけつまんでトンズラしてたわけだ。そしてそれと気付かれないよう息を潜めていたという。昨日の夕方のんHKラジオで言ってたが、パナマだかケイマンだかに不正蓄財されている額は総額2000兆と言われているらしくて、割合自体はごにょごにょだが、その中で日本の資産家や法人が占める割合が大きいという話からすると、これ、ザルだらけの法律ですら堂々と破っている額が壮絶に大きい。パナマやケイマンだけでその額なんだから、世界中の租税回避地を経由(資金洗浄の後の秘匿)して不正蓄財・運用されている額を思うと、そりゃ今脱税している連中が必死にカネを握らせて(自称)経済学者にミスリードさせている最中だというのも大いに理解できる話だ。
 なんつーかね、日本って国は終戦直後、新円切り替えといって国民に全財産を銀行に預けさせ、後付けで法律を作って戦時利得の没収ということで国民の全財産を没収した前科がある。ほとんどの国民は戦争で儲けたなんてのはいないわけだが、では、本当に戦争で儲けた財閥はどうしたか?というと、これが金(いわゆるGold)や美術品などに化けさせて資産逃避させ、資産隠しが間に合わなかった分を除いて難を逃れているんだよね。本当に戦争で儲けた連中は資産が温存され、むしろ戦争で損をさせられた層がさらに財産を奪われるということがかつて国家規模で行われた。では、高度経済成長期の蓄えをちょろまかして私物化した連中のカネが、国家によって正当に国に返されるか?と言われると、それはまぁ、みんなわかるでしょといったところ。政官財と想像してみて、権力を持っているものがなんでわざわざ損をするようなことをするかってことだよね。だから彼らは自分が行ってきた犯罪をずっと黙っているし、不正蓄財したそのカネを使って必死にウソをばら撒いてる。今の経営層も大概害悪だが、その上のさらに悪事を行ってきた連中やその子孫が今息を潜めて嵐が通り過ぎるのを待ってる。結局このどうしようもない差別構造を、庶民がたとえ覚醒して覆そうとしてもおそらく無力であって、むしろ小銭をちらつかされて進んで騙される層が大半であろう。しかし、本当にこういう構造と戦うというのであれば、例え無力であってもウソをばら撒く連中のことに一切耳を傾けてはならず、自分で政治的・経済的自殺ボタンを決して押さないという判断や決断が重要なのだと思う。それでもそういうのは自衛の手段でしかなくって、本当に社会を変えるような力になるためには、食い詰めて生活できなくて自暴自棄になる庶民が激増するような情勢になるしかないのだけども、その情勢にしたって搾取されて使い捨てられる層は死んで居なくなり、新たに移民や有期外国人労働者とか中流から転げ落ちた国民が新たな搾取対象者として補充され続ければこういう理不尽な構造は全く磐石としかいゝようがないわけなんだが。