氷菓 第6話

 大文字表記のアルファベット表示をわざわざ小文字に書いて勘違いとか無理矢理過ぎないか?。
 うーん、やっぱミステリとしては微妙だな。だからといってダメってんじゃなくて、逆にどうでもよい素材をどうでもよい推理で日常に彩りを添えるという意味ではこんなもんだという気はする。前にも言及したが、大層な事件を大仰な推理で驚かす割には、その推理の手順が跡付けばっかで単にタネも仕掛けもあるマジックを向こうのペースで見せられているだけってよりは、視聴者(読者)も推理に参加させて答え合わせを一緒に楽しむっていう点ではなかなか現代的。昔のミステリが観客は決して舞台に立ち入らせなかったが、この作品だとむしろ舞台にのぼってくれってなもん。舞台に参加させるためにハードルは下げているし、視聴者の推理が当たろうと外れようと全然うれしくも悔しくもない結末なのも、逆にそれを狙ってるのかなと思わなくもない。
 主人公がリア充に憧れているという自分の予想がまさか当たるとも思っていなくて、なんのかんのいってこうリア充とは距離を置くことこそが文学少年少女への橋頭堡なんだろと思っていたゞけに、なんかあざといというか、なんか腑に落ちない感じ。とはいえ、結局のところこれはもう自分が学齢期にあったと思われる典型的なジュブナイルなんだろうな。内省的な方向性ではなく冒険モノそのもの。但し現代はフロンティアはなくてすべて情報で管理されているから、リアリティのことを考えると日常を題材にするしかない。しかも探検まがいの冒険はできないからあたりさわりのないものを扱うしかない。で、なんというか、ターゲット層はおそらく昭和期を過ごしたオッサンオバサン。まさか全共闘世代まで広げているとはビックリだが、おそらく主人公達の服の着こなし、全体の色使いあたりの雰囲気からするとそのターゲット層は違和感ないはず。
 携帯端末を使っていはいるのだが、昨今の使われ方がもう端末に依存状態なのに対して、この作品だと現代的な使われ方がされてない。固定電話の場所に移動する手間を省けてよかったねという程度に描いている。ジャンルがミステリであるというのが実は目の付け所がよいと今は感じている。現代的な使い方だと、情報はやり取りをするだけなんだよね。それがこの作品だと情報を処理することに重点が置かれている。処理するために必要な情報を集めるのだって、端末を使うのではなくて大抵自分達の足で稼いでる。その辺がモロ昭和。萌えはキツいし、昼メロはちょっと…、でもトキメキたいって層を拾おうとしてるんじゃないかな。懐古風味大目でそのへんあざといんだけど、名作を狙ってるわけでなし、ラノベほど下品でもないしで、そのへんわきまえて楽しむ分にはよいかと。