新世界より 第11話

 瞬が消えてから、彼の記憶すら消された早季たちのその後の話。記憶操作を受けてはいるが、完全には消えてなくて、そこから得られる違和感を解消するために行動するという流れだった。この記憶操作というのが一癖あって、なんですべてを改変させていないのか、それとも記憶操作には限界があって、すべての辻褄を合わせることなどできないのか、そのへんの設定よな。こういうタイプの物語だと、割と主人公だけ記憶がはっきりしていて、その他のキャラは全然前のことは覚えてなかったりするんだけど、そのへん原作者がどう判断したものやら。用意のいゝことに、どうやら早季は最初っから選別されていたというのが次号予告でほのめかされていたので、記憶操作が完全でないのはテキスト上の都合なんだろうけど、普通に考えると物的証拠まで含めてすべての辻褄合わせを矛盾無く行うのは限界があるんだろうというのが自然なことだとは思う。記憶操作ってのはたぶんにメタファーな部分が大きくて、例えばいくら原発が危険だとわかっていても、誘致自治体にはたんまり補助金がもらえて住民も電力会社に高待遇で就職できたら、自分の意志が曲がっちゃって原発を容認してしまうだけでなくいくら消極的であっても強力な原発推進派になってしまうというアレ。ようするに黄金色の菓子だとか、鼻薬だとかという類。
 まぁいろいろ考えるものはあるんだけど、ディストピアものとしてはわりと上質な作品という印象。普通に次回が楽しみな構成になってる。