緋色の欠片 第二章 第10話

 自分も騙されてたよ。
 婆サマの手玉に取る様子には感心させられた。今までの描写で胡散臭いというのはわかってたんだけど、珠紀への説明はそうだろうなと自分も納得する出来栄え。婆サマにとっては恋愛でのぼせ上がった若者を言いくるめるなどなんでもないのだろう。しかし、わからんのは婆サマの動機は鬼切丸の封印を成功させることによって己の名誉を保つことぐらいだったと思ってたんだがな。まさか鬼切丸の力を手に入れるとまでは考えていなかったんだけど、そういう線もあるのかね。まぁ当面の目的は、鬼切丸の力を拓磨に宿したまゝでは都合が悪いので、自分が管理しやすいよう力を手中に収めとくってとこか?。
 でもまぁ仮に珠紀を犠牲にして鬼切丸の封印が一時的に出来たとしても、奪われた五つの宝具(法具?)がロゴスの手中にある限り、封印はいつでも破られる可能性があるわけで、そのへん解決しないといたちごっこにしかならないんだよな。まぁどう考えてもロゴスにアリアという理解者がいる以上、最善の解決策はアリアと共闘して丸く収めることでしかないんだが、そこらへんどういう経緯にしていくのやら。とはいえ、珠紀が生贄にされて悲恋ストーリーとして終わる可能性もまだ充分にあって、結構先が読めないな。まぁヒロインがラス前に危機に陥るのはパターンなんで、そういう線が濃いとは思っているんだけどね。
 しかし、玉依姫としての覚醒をこゝまで引っ張るとは。もうこうなったらクライマックスで覚醒しか考えられないんだが、もしかして覚醒しないまゝラストを迎えたりするのかな。
 あと、珠紀も拓磨も玉依姫常世神の因縁を引き摺りながらも、そういうのはあったとしても今の珠紀もしくは拓磨をどう思っているのかという捉えなおしというか自分の気持ちを見出しているのがなんとも。改めて考えると、実はそういう玉依姫・守護五家を外れた珠紀・拓磨のつながりの描写は全然足りない(まだ回想シーンのみのアインのほうがわかりやすい)とは思うんだが、そうはいっても、この役柄を取っ払ったときの自分の正直な気持ちに向き合うってところは、これはなるほど構成として、今明らかにしたのはよく出来ていると思ったな。