夢喰いメリー 第5話

 要するに、コレジャナイロボなのか?。
 こゝまでやると、かえってあざとさを感じてしまうんだけど、ホロリと来る展開。というか、メリーら夢の世界に帰って行きたいという夢魔の根幹に関わる問題をこゝで提示。
 というか、よくわかんないな。エンギは由衣に器になってもらっているっぽいが、エンギと由衣の関係はメリーと夢路の関係に近いような気がする。が、どうも人間が夢魔の器になると目に刻印らしきものが現れるようなので、まぁそうなんだろう。そういや河浪も目に刻印が表れていたから夢魔の器になっているっぽいな。で、メリーと夢路は夢魔と器といった関係ではないわけで、そこらへん他の夢魔&器と共通の部分、違っている部分がよくわかんないな。
 となると、夢魔は今まで考えてきたように、人間が夢見るというもう一人の自分ってのとは違うってことになるのかな。たゞ、由衣の場合、エンギとの出会いがやはり夢路とメリーの出会いと酷似してるんだよな。今までのケースだと、夢魔が人間の心のスキマに入り込んでいくといった形だったのだが、由衣の場合、エンギに無理矢理巻き込まれたように見える。困っているエンギに手を差し伸ばす由衣はこまっているメリーに手を差し伸べた夢路と構図が似てるんだよね。自分にはメインキャラだけは夢魔との関係が特別なんじゃないかという気がしているのだが。
 が、この作品はどちらかといえば、人間と夢魔との関係よりは、弱者?との連帯のほうに重きを置いているような気がする。身元どころか国籍も履歴も不明なメリーという弱者に、どう手を差し伸ばすか?といったところ。まぁメリーも個人的な能力からすると決して弱者とはいえないんだけど、社会的に孤立しているといった点においては困っているワケだ。これは現代でいえば共同体が破壊され、個人が分断化された庶民の状態とも重なる。
 対してそんなメリーを助ける夢路だとか勇魚も、強者というよりは社会的に言えばやはり弱者側に属するワケだ。いわくありげな来歴から想像すると市井の一庶民である。そういうのが互いにいがみあうのではなく、何か自分に出来ることを探してできるだけ支えあうって構造が今回登場した由衣も含めて彼らに感じられるワケだよ。今まで登場してきたケースにおけるゲストキャラだって自分では上手く解決できなくて、夢魔につけ込まれ*1ていたのをメリー&夢路に支えて危機を脱したということになっている。
 で、今のところオモロイことになっているのが、ヒキの夢路の部分である、「他人を支えるために自分の弱さを克服する」といったところ。強くなる動機が他者との関係性に置かれているのがね、何か毛色が違っているように思うんだよ。いや、もちろん他人を救うために強くなる、自分が成長するために今までの自分を乗り越えるって構造自体はこの作品にもあってだな、新しい構造とまでは言わないんだけど、でもやっぱ他のビルドゥングスロマンとは違った印象を受けた。
 庶民が孤立化し追いつめられていく要因ってのが今のところ示されておらず、そこらへんに期待したいところではあるが、今のところはこれで充分かな。現実社会だとそれが社会構造だとか因習だとか政治の問題だったりするんだけど、今それやると混乱するだけだしな。というか、そういうのが無くても物語が成立してるしな。まぁえらい慎重な物語づくりというかテキスト処理だよ。それでいて表層の部分でそんなにわかりにくい部分があるわけでもなし、いやはやこれはよく出来た作品。
 ヒキのイラストを見ると、製作が間に合ってなかったのかな?。

*1:もしくは自分で自分のことをどうにもできなくてもがいている