Hidden Value まとめ に入るのかな

 http://hamusoku.com/archives/2764252.html 魚拓

343 :ノギス(アラバマ州):2010/02/27(土) 02:24:05.72 id:GT4OZqKA
うちの会社w


社員50名以下の中小だが、
監視カメラがあって社長が常時見てる。
ときどき社長がマイク使って注意してくる。


「おい鈴木!お前さっきから消しゴム使いすぎ!集中してないからミスるんだ!」
「田中!お前なんでシャーペンばっか使ってるんだよ。書類はボールペンで記入だろ!あほ!」
「佐藤よ!!!!お前さっきから便所行きすぎだ!!!!!!!!糖尿か!!!!!」
「チカちゃん、トイレ行ってから戻るまで18分。ウンチョスかな?wwwwひゃひゃひゃwwwwwwwww」

 PSS・ワールドメディカルが買収先の企業の監視カメラを取り除いたのとは対照的な光景。本書が出版されてから10年以上経つのだが、日本ではブラック企業が日に日に増加し、酷いところはこのような有様になっている。取り上げられている成功企業は、従業員を人間扱いし、裁量を与えて存分に働かせることによって収益を上げてきたという流れになっている。まぁ考えてみればあたりまえの話ではあるのだが、なかなかその簡単なことが難しいらしい。
 しかし、よくよく考えてみれば、従業員を優遇して…ということは甘やかして、彼らは仕事の手を抜いたり、横領をしたりすることがないとは言えない。まさに今日本の経営層が仕事らしい仕事をしないのに、給料だけは権限でアップしてやりたい放題やっているワケだ。彼らが自分を基準に、「従業員に特権を与えたら自分たち経営層のようにやりたい放題やるだろう」と考えてもおかしくない。そういう性悪説バリバリの人間は世の中には沢山いるわけで、そしてそういう従業員を雇ったばかりに会社の屋台骨が傾いたり、倒産の憂き目にあった企業もあることだろう。やはりここで気になるのは、従業員を優遇するのではあるが、それでやる気を抽き出し、それは決して甘やかしてグダグダになるというものではなく、業績を上げる方法って一体何なの?ということだ。優遇すれば必ず上手くいくといった、キレイ事ではないものが果たしてあるのかといったところだろう。そこで、その条件とは何かというのをダラダラ書き連ねてみたい。また、NUMMIのところだけでなく全体的に日本企業との比較も念頭に置く。
 まず、各社の創業年度を見てみよう。サウスウェスト'67(営業開始は'71)、CISCO'84、メンズ・ウェアハウス'73、SAS'76、PSS'83、AES'81、NUMMI'83。サウスウェストが中では古株だが、だいたい'70年台〜'80年台に集中している。本の出版年度が'00であり、それまでに取材は終わっているから、大体'90年台の後半の企業の業績を元に書かれているといってよい。ということは、これらの会社は大体短い所で15年ほどの歴史しかなく、長いところでも30年ほどしか経っていない。サウスウェスト航空以外はほとんど創業者が経営の根幹に関っているわけだ。創業の苦労を社員と分かち合って、現場を良く知っている経営者が居る。NUMMIGMトヨタから経営者が出向してくるようだから別格だろう。
 となると、なるほど企業としては若くて勢いがあり、まさに成長期ではあるんだろう。そして経営者がふんぞり返っているわけではなく、現場も知っているフットワークの軽い人物らしい。これ、例えばホンダの創業期が思い浮かぶ。会社が小さい時には社長自ら汗を流さないとまわらないだろうし、従業員も社長以上に働いてもらわないとやっていけない。社長自身も未経験な部分はあろうし、社員が未経験であれば社長自らが手ずから教えもって業務をこなさなきゃならないだろう。社員の知恵も役に立つものであれば少しでも取り上げて業務の効率化を図らねばならないだろうから、誰が上だとか下だとかいってられないんだろう。社員のほうも社長がそんな感じで分け隔てなく振舞うのであれば、そりゃ奮起もするんでねぇのと思う。会社が小さいうちは資金も人材もバッファが無いからちょっとしたゴタゴタでも致命傷になりかねない。そうやってなりふりかまわずやり通せたところが生き残るワケだ。そして小さい時には運の要素が強く、たとえ最善手だけを打ってても生き残れるとは限らないのだ。それが厳しいところだろう。
 ところが、例えばあちらでもそうだとは思うんだが、日本の場合はもう知名度のある大企業は創業者が経営の最前線に居るところは無いだろう。創業者が経営のトップに居るとか、そうでなくても創業者と苦労を共にした股肱の社員が経営層に居るとか、そういう大企業はほとんどないと言っていいのではなかろうか?。本田宗一郎だの松下幸之助だの社員を大事にしているような名言が多いイメージがあるけど、今の企業はどうかね?。経団連会長をやって悪名高い奥田にせよ御手洗にせよ、どう考えても創業者世代とはかけ離れているだろう。創業時のメンバーの薫陶を受けることなく、社内政治で他人を蹴落としたとか、創業者の一族で、むしろ甘やかされてきたボンボンが采配をふるって業績を悪化させるもしくは悪化させないまでも傲慢な発言・采配でイメージダウンって感じか。トヨタも奥田の社長時代に手抜きが横行したとか、キャノンも御手洗の時代に切捨てが横行したとかウソか本当か定かではないが、あまり良い噂を聞かない。
 となると、経営者として最初の苦しい時代を知っているからこそ従業員に気持ちよく働いてもらうことの大切さを痛感しているのだろう。そしてそういう創業者だからこそ、社員を優遇するってことができるのだろう。そうなるとあまり日米の差異ってのは感じない。単に経営者が人格者であって、運も手伝ってたまたま生き残って好業績を上げているだけの可能性は高い。今、日本ではIT関連でヴェンチャーが流行っているが、やはり無理を社員にさせてブラック企業化しているところが多いそうだ。そしてそういう企業は早晩行き詰まる。生き残れないのだ。
 本書の企業も成長期を過ぎてさらに何十年も好業績を続けることができるかどうか、それは創業者世代を過ぎてからどう乗り越えるか?って部分が大きいから、こういうやり方がずっと続けられるのか、続けられたとして上手くいくかどうかはわからない。でも、成長期の企業が立て続けに取り上げられているということは、まず、人材を生かして業績を上げる企業としては、創業者の人格と、そしてなにより運というものが重要だというのが条件の一つとして上げられるだろう。