プリマドール#1・2

 なんか人形を主人公にして後々アイドル活動っぽいことをやらせたいらしい。実は新番チェックの際、公式サイトに行って一度は視聴対象から外してた作品。その後なんかネットのバナー広告で目にしてちょっと気になってこうして視聴してるというワケ。宣伝もバカにならんもんだな。
 ヴィジュアルアーツ作品といっても、直後にKey名義が連ねてあったからエロゲ原作かと思わなくもないのだが、全年齢対象のオリジナルアニメらしい。主人公が機械人形だというところ、しかも主人公以外の人形が軍属ってあたり、日本が経済戦争敗戦して後、非正規雇用のメタファーなんかなと思わなくもない。アベが暗殺されてこれでアベの搾取も一段落つくか?という機運が高まってはいるが、実際自民盗が軌道修正するとも思えず、とはいえ奇しくもアベいなくなった後のつかのまの空白期間に彼の経済政策に痛めつけられた人たちに対する鎮魂歌もしくは癒しになってしまっているのは何たる偶然かという思い。
 シナリオ自体は麻枝のようなピーキーさはなく、泣かせ重視なのは葉鍵のカラーなのだろうが、なんか悪くない雰囲気。萌え要素はふんだんに盛り込まれていてそれをそのまま受け取ってしまったら抵抗感もすごいが、それらは偽装であってメインキャラが何らかの欠損を持たされていることからも、やはり彼女たちは経済的に虐げられた現代日本の庶民のメタファーのような雰囲気はプンプンするので、そのへんできれば表層に惑わされず行間を読むのをお勧めしたい。

異世界薬局#1

 異世界転生と薬学のミックスらしいが、まだ詳細がよくわからん。チート薬師にそれなりの真剣味を期待してたらもう全然ライトだったので、もうちょっと歯ごたえのある作品だと嬉しいがな…とは思っていたのだけども、なんか最初に重ためでそれなりにリアリティを持ってきてると思ったら、なんか風向きが怪しい感じ。
 こういう話だと魔法と科学の整合性をどう取るかが割とナイーブで、そう難しい話ではないんだけど、魔法でけがや病気が直せてしまえるのなら、科学の領域である薬学が発達するはずがないわけで、この作品世界の魔法の扱いがどうなのかよくわからん。OP映像見る限り、現代の薬学の知識が盛り込まれているようだが、主人公が無から有を生み出し、逆もまた可なりとあるのは明らかに魔法の領域だし、個人的には見ただけで症状がわかる程度に魔法を使う程度におさめておき、それを治療するのに主人公の前世のおそらく膨大な薬学知識を利用して(精密合成生産設備を作るなりして)治療にあたる、現代知識を使って俺TUEEE展開のほうがまだマシのような気もするが、現代の薬学知識と魔法が都合よくミックスされたような能力を主人公は得たらしい。
 かといってヒキで主人公の師匠が主人公の桁外れの能力を見て恐怖を感じるのも、前近代人が異能者に対する態度と同じなので、そのへん強大な力を持ってるからその力を利用してグヘヘヘみたいな流れでないのはわかっとるやんみたいな感じ。とにかく組み合わせてる要素がぐちゃぐちゃなのよ。
 なんつーか、詳細な科学知識がなかった前近代人が、どうしようもない疾病に対して加持祈禱を試みてしまってたわけで、そこに神仏の人知を超越した力に頼る弱さみたいなものがあったのだけども、そういう迷信や陋習を一つずつ排して人類に治療の合理的な手法を明らかにしてきたのが科学なのであり、それをこの現代のファンタジーにもう一度そういう科学知識を魔法の形で再構成してみせるの、もう教育というか、知そのものに対する後退というか敗北としか言いようがないんだけど、正直そこをあげつらっても仕方がないので、ドラマ部分に期待するしかないんだろうかと最初っからちょっと不安になってる次第。物語の進みようによってはチート薬師のようにリアリティを放り投げた方がまだマシだったという結果になってしまう可能性すらあり得るのでは?と不安になってる。声優陣はなんか奮発してるけどね…。