リトルウィッチアカデミア 第23話

 やっぱ詰めが甘く感じられるんだよなぁ。
 伏線を張っての回収作業はちゃんとできてはいるんだけど、やってるだけという感じ。細かな辻褄合わせがいろいろできていないのはともかくとして、この作品で魔法というものをどうい位置づけているのかこゝに至っても自分にはきっかけも掴めないのは自分が馬鹿なのか。まづ、シャリオが目指したという、魔法は人を喜ばせるものということだが、それはアッコにも受け継がれていて、これが一つの重要なテーマなのかと思わせておいて、とはいえシャリオにはショーで観客による感覚の麻痺によってより強い刺激を求められるという業の深さを体験させており、ちょっとアレ?と思わされる。人を喜ばせるというテーマ自体は間違っていないが、それをショーで体現するのは間違っていて別の方法があるはずということならばなるほどなのだが、そういう展開になるのかどうか。なんというか、むしろこの作品では魔法というよりは魔法という看板を軸に展開される数々の人間模様を描いて、むしろ魔法で実現されることよりも人間の持ついろいろな要素のほうを重視しているような感じである。
 あと大人の描き方が雑。今回の話でショーでのインフレ傾向に悩むシャリオが学園の図書室で悩むシーンが描かれていたのだが、シャリオは生徒の身分でショーに出てたのかとか、ドリームフューエルスピリットを使って観客に害をなしたというのは学園としては不祥事なわけなんだが、そのことに関してシャリオになんらかの処罰が下されたようにも見えないし、もしかしてあの不祥事を学園が把握してなかったとかありうるのか?とかちょっと信じられない。クロワも劣等感が原動力でやはりやってはいけないことをやっているようではあるが、目的自体は魔法の復権とかで、そんなに動機が悪というわけでもなさそう。とはいえ、学園内にあの研究施設を作っていてシャリオが普通に入ることができるのだから学園が全然把握してないってことはなさそうなんだがそのへんについての何らかのアクションが見られないのがとても不自然。後から実は裏で学園はこういうことをしてましたとか示すのかもしれないが示されないかもしれないし示されたところで説得性のあるものになるのか不安。シャリオが教員として赴任というのもなにか学園としても意図があるのかもしれないが、そのへんもねぇ。
 強烈なのはダイアナの存在感。初めからアッコのライヴァルとしてそれなりに強調されていたのでこれはこれでアリなのだが、こゝに至ってロッテやスーシィを喰ってしまっていて、これもバランスが悪いなと思わされる。アッコを助けようと馳せ参じるキャラもちゃんと今までにエピソードを示しているからやることはやっているんだけど、個人的にはとってつけたような印象が強い。アッコがダイアナを救うエピソードはアレは単体としてよくできていたのでスタッフの力の入れようからするとあれこそがむしろこの作品の本質と思わなくもない。
 それに関連すると、アッコとダイアナの友情と、シャリオとクロワの関係性とは対照になっていて、そのこと自体は良くできているんだけど、ならなんで2期になってからのOP動画ではあたかもシャリオとクロワはアッコとダイアナの友情に匹敵するような描写にするのか。
 やはり自分が補助線を引けないから作品のよさを理解できないのかもしれないが、クライマックスに向けて個人的には不安を感じることのほうが大きい。逆に作品の本意を視聴者に悟られないようスタッフが細心の注意を払っていて、結論を見たら驚くほどに得心するって可能性もあるからそのへんはやはり楽しみに待っているべきなんだろうけど。