ステラ女学院高等科C3部 第8話

 ペイント弾なら間違いはないんだろうけど。
 主人公がズルをして大会に勝ってしまう話。サバゲの負の側面を徹底的に描くことで後味は悪いがそれなりに見所のある話になっている気がする。負の側面ったって、それ自体が内包する話でなくって、あくまでプレーヤーがどんな態度を取るのかという部分であって、ある意味道徳的な説教モノにはなるんだけど、もしこの作品を見てサバゲをやるんだったらこういうことについても考えておけよという態度はなかなかできることではない。これは別にサバゲのよううな好事家要素の大きいもの以外にも十分敷衍可能で、まぁ例えばスポーツのドーピングなんかにも適用できそうで、そのへん割とあまたのスポ根作品とは毛色が違っていて面白い。スポーツのように今となっては利権化が激しくて「楽しむ」といった範疇から大幅に逸脱しているものでなくって、サバゲ自体は社会的な名誉すらほとんどなく、認知度も低くて、メジャースポーツほど勝利にカネが絡まないものであるからこそ、ズルい行為がそれほど深刻化しなくて、視聴者に対して考えることのハードルを下げる効果があるということになっているのも結構面白い構造。
 BB弾のペイント弾ってあるんだろうか?。あの大きさで発射圧に耐えてなおぶつかる際には破裂するという仕掛けが難しそうだし、あったところでコストがバカにならないだろう。仮にあったところで、試合後にはそこらじゅうペイント弾の痕で見るに耐えない状況になるだろうし、やっぱ申告制のほうが手軽でやりやすいんだろう。しかしそこには信用が不可欠であって、それこそ同じ同好の士だからこそあるべきものではあって、それが守られない現状があるという提示はそれだけで問題を内包しているというメッセージにもなっている。
 今回の描写は確かに社会的にはしょぼい大会でのたかゞ未成年のチンケなズルでしかないんだが、それを通じて趣味とは何かだとか、そこから発展させれば例えばプロスポーツの存在ってのがいかにいびつなものかということまで考えさせられて何気に侮れない。まぁ趣味の範囲としては高度成長期の日本で企業がスポーツ選手を支援してリーグが成り立っていたってところまでが健全な範囲だったんだろうねぇ。小さな子供が憧れてプロスポーツ選手を目指すって割と夢膨らむものに描かれるんだけど、実は社会構造としてはいやーなものでしかないような気はするな。