4thQ2025アニメ新番短感

わたたべ#6

 人魚と狐が当面の間和解するの巻。あーなるほど、この作品レズものとしても中途半端で、もっと主人公の悲しみに切り込むのかと思ってたらそのへんもぼんやりしてるので、なんなんだろ?とは思ってたけど…。
 要するに主人公は家族を無くして孤立してるわけだけど、彼女はおそらく現代日本における経済弱者のメタファーなんだというのが分かってきた。人にとって何が大切なものなのかについては個人差があるし、そのへん家族に限定する必要はないんだけども、とりあえず視聴者に共通して共感を得やすいものだし、自分がいつも言ってる通り今ドキの若者はほぼ半数が非正規雇用で子供を持つどころか結婚すらできない層が激増中。家族を失った主人公と、家族を最初っから持てない若者は、結果として得られてる状況からするとほぼ同じ、つまり、最初に与えられたけど奪われた主人公と、最初っから与えられもしない若者は同等とみなすことができる。
 主人公から家族を奪ったのは交通事故どいうことなので、人災も人災だし、いわば産業に殺されたといってもいい。そうして弱った主人公を食おうとするのは海由来の妖怪であって、今まで彼女を守ってきたのは土地神だという。構図的には土地に根付いたキツネが、海…ということはその土地に根ざしておらず外来の妖怪が主人公を喰いモノにしようとしてるわけなので、それって衰退した地方共同体がかろうじて主人公を守ろうとしていて、それを東京一極集中によって地方がヒトモノカネを奪われる構造とまるで一緒。しかも狐は在来の神でなく、他所からの流れ者という話だし、人魚は初期設定では主人公を育てはするけど食うことが最終目的なので…。
 もっと恐ろしいのは主人公を引き取った親類とか彼女と普通に接する人間はいるけど、基本本当に彼女に主体的にかかわろうとしてるのは人間ではなく妖怪ぐらいしかいないし、狐と主人公の関係もいちおう相互相補的と言ったらそういう側面もあるが、基本べったりした共依存関係に近いのであって、壊れた地域社会と壊れた個人関係という構図にもなってる。
 正直原作者がキャラ達の相関関係を、壊れて弱肉強食になってしまった日本社会に重ねて物語をひねり出したとも思いにくいが、、アニメ制作側が原作を読んでそのような要素と重ねることができると考えたのだとしても別におかしくはないので、そのへんはまぁ。ただ、日本社会がこれだけ分断されておらず、地方分権がある程度達成されて地域住民が主体的に社会に関わっていたら、主人公に寄り添おうとする人間がほぼ皆無という物語が共感を得たりするはずがないんだよね…。

永久グレ#6

 温泉地での女カップルの和解と、仙台での資料探し。なんかやっぱり精神性については通り一遍の事しか言ってないような。まだ情報というか手掛かりを投げてる段階のように思うんで、今のうちから何も得られなくても仕方がないかも。まぁ今回は視聴しててストレスもなかったし。

2ソロ#18

 ヒロイン二人による壮絶な争奪戦…というよりは鞘当てか…。三人ソロキャンプというのも、ソロでない普通のキャンプを三人でする…のとは確かに違うよな…とも思えるのでこのへんはなかなか考える素材としてはよろしいかと。
 エロ要素ほとんどないんだけども、このへんの女の戦いって結構むず痒いというか見てて面白くはあったからテンプレもたまにはいいもんだなと思った次第。

ステつよ#5

 ヒロインがさらわれる話。これも話としてはありきたりなのに、かなり没入させられる。展開が速めなのもありがたい。各々のキャラが抱えてるものをポンポン出してきて、なんだろ?、他の作品だとバトルシーンに過去話を織り込みがちだけど、この作品はそれをやらないのかもね。アニメシリーズでどこまでやるのか調べてないのでわかんないけど、構成はなかなかよくできてるように思う。

4thQ2025アニメ新番短感

 そろそろ頃合いだと思うのでやれるぶんだけやってみる。

  • 無限ガチャ ストーリーはクソなろうそのものだとは思うけど、視聴してて特にストレスを感じないのはちょっと不思議。
  • さいひと 出オチ感があってしょんぼり。カタルシスが感じられるように作ってあるけどストーリーがイマイチ奮わない。恋愛要素は個人的にあってもいいんだけど、コメディとして洗練されてないし大きなおねえさん向けならここにオリジナリティを発揮すべきだけど…。
  • しゃばけ 端正な作りなのは評価できるけど、どうもパンチが弱く感じられてピンと来ない。同じ江戸モノでも鬼人の方はそれなりにフックしたのになぜなのか。おそらくテキストだと鬼人よりこっちの方が上だと思うんだけどね…。
  • グノーシア ルールの後出しが続くのでマジメに追っかけるのがバカらしくなる。新奇性はあるし、考えさせられる要素も多いので今後に期待だけど…。
  • 終末ツーリング ポストアポカリプスものとしては極めて中途半端な印象。世界が滅びるからにはそこに人間の愚かさが原因としてあるハズなんだけど、そのへんのほのめかしが一切ない物語はあんまりポストアポカリプスものとしては落第だと思うんだよね…。
  • いもウザ 不登校少女がはやくもデレてしまったのでなんか肩透かし。中盤から話が盛り上がるといいけどその辺は未知数。
  • メカマリ もうちょっとコメディ要素が多かったらと思うけど、凡庸なラブコメになってしまった感じ。まだ中盤も初期のうちだから挽回してくれるとだけど、ここから面白くなる可能性が信じられないでいるという。
  • 素材採取家 なろう系としては類似作品がたくさんあるのに、そんなにストレスを感じずに視聴できてる。直近の感想でキャラのゆるい連帯がフックしてるのかもと述べたけど、本当にそうなのかどうかもわかんないし、いつ退屈しだすかもわかんないな。
  • えがたえ 初回を視聴したときにはハズレだと思ってたけど、#2以降は落ち着いたストーリーでちょっと安心。お仕事の職種が職種ではあるけど、日常系としてこれはアリかも。
  • チラムネ 一般的な評判は最悪みたいだけど、個人的にはちょっとぐらいストレスがあって物語がスムースにいかない方が文学性があるとは思うんで、それなりに期待してたしそんなに悪くないと思ってたんだけども…。まさかの放映延期。いっちゃぁなんだが、製作陣も揉めながら作ってるんじゃなかろうか。
  • ワンダンス 直近の感想でも述べた通り、ダンスパート以外の出来は悪くないので個人的には引っかかりはするけど問題はないかな。都度感想で触れるつもりだけど、今のダンスって音楽ありきなのが良くもあり悪くもありで。
  • 無職の英雄 これもテンプレなろうとは思うけど、案外悪くない感じ。主人公が無双するけど、メッセージ性を考えるとバランスが取れてるし、ご都合主義はご都合主義として受け入れられるんでこのへんは上手い扱い。
  • 永久グレ オリジナルアニメの割に、あまり全力を出してない感じ。今のアニメって原作付きのものが多いけど、アニメ化されるほど原作に人気が出たのは、他の作品にはないその作品の独自性とか突き抜けたところがあるからなので、オリジナル作品でバランスを重視しすぎて中途半端になってちゃいかんデショ。とはいえ、今後面白い展開になる可能性はまだあるのでなんとも。
  • わたたべ 物語としては中途半端なんだけど、これもまだ話が動いてはないので何とも。
  • ステつよ これもなろうにしては物語が洗練されてる感じかな。視聴中は没入してるから全然アリ。絵柄が古臭いというか狙ってこうしてるみたいで、感想動画ではうるし原とかロードス島(出渕)とか言ってたけど、個人的には美樹本とかボーグマン(菊池通隆)を連想する。が、原作イラストの担当は東西で、陰実の人。これはそこそこ楽しめて終わりそうな予感はする。
  • 小手指 ショートで実用系としては物語が手堅くまとまってる印象。直近の話は水泳部ちゃんだったけど、試練自体は主人公はきっかけにはなってたけど本人が乗り越えてたからちょっと感心してた。でも水着を脱いでないのに裸描写はアカンやろ。
  • 昼メシの流儀 賛否両論あって一度は見てみるかとYoutubeで#1を視聴したけど、せせこましくて自分はお呼びではないという感じだったので一話切り。この手の作品はキャラをバカにして笑うんじゃなくて、共感性が高いかどうかに自分はなっちゃうからかも。


 というわけで、こんなものか。この中で一番を上げろと言われたらワンダンスだけども、かといってお勧めできるというほどでもないというか。次点に小手指が来そうな勢いだけどさすがにそれは言い過ぎで、ステつよとかチラムネだけどもチラムネは延期だからね…。
 今期は不作という評判で、まぁそういうのも無理はないとは思うんだけども、視聴してる作品でこれはさすがにダメというほどのものはないというか。今回ちょっと面白いのはなろう系のクォリティが底上げされてる印象が強いこと。絶対的な出来が他の作品を押しのけて素晴らしいというのではないんだけども、テンプレなろうと侮ってはいかんぐらいの出来のように思える。逆に前評判の良かった作品がかなり期待外れだったというのもヘンな感じ。メカマリの自分の中での落ち込みが激しいけど中盤から盛り返して欲しいところ。
 なんだろうな?、大上段に構えられてもアニメシリーズでは尻切れトンボになる作品がそれはそれは多いので、どうにもシリアス系の作品に期待することが少なくなってしまった。