やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第2話

TCRコンポジ、フォーク黒ver.

 比企谷が余計な一言で平塚をカッとさせるのが定番なのか。
 由比ヶ浜の自立と中二病患者材木座義輝の顛末の二本立て。いや、実は二回目見ながら感想を書いているんだけど、初見ではぼんやり眺めていたゞけなんだが、結構投げ込まれているテーマがあるようで、そういうのを拾いながら視聴すると、こりゃ奥が深いな。
 平塚の「世の中が優しくなくて正しくもない」という発言。世の中を否定しているというわけでもないんだが、でも彼女の立場としては比企谷や雪ノ下寄りなんだろうね。で、良く考えたら、奉仕部で彼女が雪ノ下や比企谷にしている指導は、どちらかといえば彼らの間違いを指摘してそれを矯正しているというよりは、あくまで課題を与えているってだけ。評価も独断と偏見で下すとか言っていながら、由比ヶ浜の件についてそうしようと(今のところ)はしてない。
 で、由比ヶ浜スクールカースト問題で金髪縦ロール女王の三浦優美子から独立を試みるってとこなんだが、漫研ラジオで三浦優美子が優秀って言われていたから、どう優秀なのか見ていたがわからんかった。同調圧力に巻き込む能力が優秀なのか、それとも今後彼女の優秀さが描かれるのか、おそらく後者なんだろうけど、今回は由比ヶ浜が自立するというテーマが主なので、三浦はこの場では悪役という立ち回りなんだろうね。で、三浦がなぜイラついているのか?を考えると、今回は由比ヶ浜が「今日は別の友人と昼休みを過ごすので」と言えばすむのを、回りくどいことをしてはっきり言わなかったからなのかと考えた。どうしても三浦が自己中過ぎて同調圧力で抑圧しているように見えるんだけど、昼休み友人と過ごすと言ってれば、パシリにすることもなかったんだろうか?とも思う。三浦のもどかしさは言いたいことがあればはっきり言えとちゃんと口にしてるしね。アイスの買い喰いにつき合わすという会話を最初にしているせいでどうしても三浦の印象が、彼女をはじめて見る視聴者には悪く映っちゃう。
 で、雪ノ下がなんで教室まで迎えに来るかな?というのも疑問の一つ。助けに来たのかな?と思いきや、実は彼女は由比ヶ浜に自立を促す手助けをしてるだけという構造になっている。それだけ彼女が由比ヶ浜の問題についてよく把握しているということになるんだよね。で、比企谷が口を挟もうとした行動は、確かに由比ヶ浜を助けようとする善意ではあるんだが、仮にあそこで三浦に遮られなかったとしても、由比ヶ浜の問題を解決することにはならないばかりか、もし彼が三浦を黙らせたとしてそれは却って由比ヶ浜の自立を損なうということになる。とはいえ、由比ヶ浜がちらちら比企谷に視線を送ってた描写はあったし、支援して欲しいって願いはあるんだよね。だからこそその想いを受け止めようと行動に移した比企谷に感謝の言葉が送られるわけで。
 しかし、オモロイのが、まぁ昔話の構造からすると、比企谷が困っている人を助ける主人公であって、由比ヶ浜が助けられる客体ってことを視聴者も予想するし、そういう風に作者もミスリードしてるんだけど、そういう構造じゃないんだよね。主人公は由比ヶ浜であって、雪ノ下はそれを支援するオラクルという役割。助言する賢者という役割も、壁として由比ヶ浜に立ちふさがる試練そのもの(試練を乗り越えたものが褒美を受け取る)にもなっている。あくまでこの作品全体の主人公は比企谷であるという立場を崩さず、この場合の主人公は由比ヶ浜になっているという構造なんだよね。
 ちょっと長くなりそうなのであとは端折るが、材木座にしたところで、彼が本当に自分中心であるってことではなくて、やはり「他人に読ませる小説を書きたい」というのが根底にあるらしいことがわかる。そういうのが無ければ、書いて死蔵すればよいだけだし、ネットで公開して叩かれても、どうせハンドルネームなんだし受け流せばよいだけのこと。そうじゃなくて、たとえ酷評されようとも直接感想を聞いてみたいという願望があって、それはまぁ目の前だとちょっとは加減もするだろうという目論見があったにせよ、彼なりに自分の中で完結する世界に閉じこもるのではなく、他者とのつながりを求めているってことなんだろうね。
 というわけで、それなりに読み込んでみると、テーマを視聴者に突きつけるにあたってかなり練りこみがなされていて面白い。でも結局のところこいつらはこいつらで、やっぱ孤独に耐え切れなくて、台詞とは裏腹に馴れ合いを欲しているんだろうなというのがちょっとね。比企谷も雪ノ下も、彼ら自身が否定しているどうでも良い話を他人としたくてしょうがないんだろうなってのがなんか見えちゃうというか。まぁそのへん比企谷だろうと三浦やその取り巻だろうと所詮中高生であるという一言でまとめられてしまうというか。かろうじて平塚が大人としての自立を保っている感じで救われるような気がするのだが。