Witch Hunter ROBIN 第19話

 なんかやたら密度の大きい話だったな。アヴァンの凪羅による、クラフトの奥義をコントロールできるのか?との問いに対する、ロビンの「わからない」という返し。なるほどゝ思ったよ。クラフトの奥義自体は暴力に過ぎないんだけど、凪羅の言うとおり、それで相手の生死までも左右するんだから、まさに権力のメタファーというか権力そのものとさえいえる。自分は凪羅の問いかけにロビンがどう答えるのか、もしかするとコントロールできると答えるのか、わからないと答えるのか*1じっと待って聞いていた。自分的にはあそこで「できる」と答えたら即刻アウトなんだよ。自分が凪羅だったら、「あ、こいつは絶対権力を濫用するな」と判断しちゃう。これが「できない」という答えでもあまり渡したくないなぁと思うだろう。カネだとかそういうものであっさりと他人に引き渡すなり、社会に対して無責任な態度を取るだろうと判断するから。やはりあそこは「わからない」とこたえるしかない。でも自分が長年生きてきて思うのは、おそらくあの問いにたいして、大抵の人間は「できる」「できない」の二択しか思い浮かばないと思う。いや、それが自分の思い上がりなのかもしれないけど。職場にいて、年上の人間を数多く見知ってきたが、あそこでわからないという選択肢を選びそうな人間は、自分のこれまた思い込みなんだろうけど、大抵思慮深そうな人しか思い描けない。特に今まで見てきた管理職は「わからない」と答えそうな人は一人も思い浮かばない。
 しかも、今回の〆が、「クラフトの奥義を自分が信用にたると判断した人に預ける」という判断だろ。判断を保留して権力のコントロールに努めているわけなんだが、これ、絶対そういう構成にしてるよね。で、間に挟まっているエピソードが、「ウィッチ能力を自制している人の*2弾圧」だろ。もう唸るしかない。
 STNJ襲撃の件もけっこう謎を挟み込んでいるねぇ。ロビンに課せられた任務がクラフトの奥義の回収ってのも、こゝで明かすのも面白いと思ったんだけど、本部がブツを回収して終わりなのに…という疑問に繋げるのがまたうまい。襲撃者が目の前にいるのがロビンだと分かった上で、彼女を問答無用で殺さなかったわけだから、おそらく彼女自身も(生きたまゝ)回収されるべき存在だ思われていると想像できるんだけど、ソロモン本部が目くじら立てゝロビンを捜索しているようにも思えないし、審問官の行動を思い返しても、なんかロビンを成長させるとかそんなのがあるのかな?という思いもちょっとあってだな、でも最終回あたりを思い出してもそれもおかしい感じがする。かといってクラフトの奥義を所持しているロビンをソロモンが恐れているようにも思えないし、ロビンがクラフトの奥義の秘密を知っているとソロモンが思っているようにも思えなくてだな、まぁやっぱだらしないというか、そこらへんわざとぼかしてるんだろうなとは思うんだけど。あ、あと亜門がようやく存在を知らせるという。あんま凪羅に発砲する理由が見当たらないんだけど。
 しかし、自分の記憶もよくわからん。じろじろ見るだとか、ロビンが呼び出されて亡くした子供の身替わりに歓待されるとかはあ、そうだったってな記憶があったんだけど、結構ロビンが娘代わりに振り回されるって思っていて、それは違ってた。かといえば、夫婦が手を握り合うシーンも、そういやそんなシーンがあったあったってなもんで、記憶も不確かだし、でも憶えていることもあって、それらを補完するために自分の記憶が都合よく作られるってのがわかった次第。昔の記憶が美化されるというか美化でもなくて、記憶を操作しちゃうってのを実感したよ。

*1:あのシーンでは、「できない」とこたえる選択肢はない。

*2:しかも弾圧を行っている主体は、自分の私利私欲のために権力を濫用する側にしてるんだよね。