荒川アンダーザブリッジ 第12話

 なんだ、水戸黄門かよ。
 なんか、かっぱ村長、偉い人だったみたい。でもこんなことしちゃったら、これから村長を見る目が変わってくるわけであり、自分としては村長が謎めいた人でありつづけて欲しかったクチなので、なんか寂しい気分である。しかし、ラストで感動の解決かと思っていただけに、ラス前での決着はかなり意外だった。
 しかし、おもろいな。もうアヴァンから胸が詰まるような気分で視聴していた。リクの父も無茶をやるので、大概悪役かと思っていたんだけど、第1話を見返してまさかボロボロ涙を流してしまうとまでは思ってなかったんだが、なんかワケありのような感じ。父は多分過去に他人に借りを作ってしまったばかりに辛い思いをするようなことがあったと見受けられる。で、リクはその薫陶をモロに受けており、それが昨日のHidden Valueのところで述べた、「人は恩を受けたら返礼せずにはいられない存在である」というのに繋がっているような気がして胸にクるものがあった。今までずっと、なんでニノはリクを選んだのかよくわからなかったが、おそらく、大きかったのか大方ったのかはわからないが、彼女は人に裏切られるという経験を河原以外でしていて、リクの返礼せずにはいられない様子を見て、彼が誠実な男だと判断したのだろう。で、その系譜は父から受け継いだものだとすると、当然にして不器用なだけで父も誠実であると予想される。
 で、人に借りを作らないということは、人の恩を受けない、つまり人からの働きかけを拒絶するということだ。が、なんということだろう。リクは河原の住人からいろいろなものを提供され、自分にできる事はないかと奔走した。河川敷のコミュニティは、分け合うことによって成立している社会であり、今やリクはそのあり方に慣れ、すっかり住人として溶け込んでいる。そして河川敷の危機にあたって全力で守ろうとした。貸し借りでなく、分け合うという行為を全力で行ったのだ。いくら自分が住んでいるところとはいえ、採算のあわないことだよな。彼自身が凄く人間として変わったということと、それがニノとの奇妙な恋愛とうまくリンクしていて、今回でピタっと嵌った感じがした。第1話のニノの「この星では欲しいものがあると、人を助けるのか?」という問いにリクがはっとさせられていたが、今やリクはその問いにはっきりと答えることが出来るだろう。
 いやはや、河川敷という、いわゆる現実社会とは隔離された一種のユートピアで、ゆるいギャグが繰り広げられるのかとたかをくゝっていたが、いやはやなんともやられましたよ。異文化とかアジールとか見当違いもいゝところ。さて、次回の最終回はどうなることやら。