WORKING!! 第12話

 次回、ついにモブキャラだった黒長髪の眼鏡っ娘に台詞がッ?!。
 なんじゃこりゃ?、伊波は小鳥遊とデートするのが嬉しいハズなのに、表面では避けているというこの描写。昨今の萌えアニメだったら、絶対に伊波の嬉しい内面をモノローグなり、意図的な仕草で見せたりするもんだけどな。嬉しいハズなのに当惑して素直に喜べないという微妙な心情の表現をこゝまでしますか、このアニメでは。
 とはいえ、これは原作もこういう流れなんだろうなと予測してみる。いや、物語にはよくあると思うんだよ。小学生が好きな娘にいたずらなど、ちょっかいをかけるのを筆頭にして、中高生でもなぜか知らないけど特定の女子につっかゝる→周囲に冷やかされる→反論する→親友あたりに「おまえ、その娘のことが好きなんだよ」と指摘されてはじめて自分の気持ちに気付く…とか。伊波が唐突な出来事に浮付いてしまっている→はは親の指摘で落ち着くって流れがね、もうこのオッサンの胸すらキュンとさせるんですわ。今でこそ流行らなくなったけど、これ青春映画というか初恋物語そのものだよな。第1話ではもっと職場論をギャグを織り交ぜて提示しているのかと思ったら、うまくグラデーションをかけて恋愛グラフィティに仕立て上げてる。ラヴコメには違いないんだけど、もうその範疇を超えちゃっているというか。
 しかし伊波母のポジションはいゝなぁ。まぁ親だったら対男性暴力症の娘にまともな結婚相手が見つかろうハズは無いから、片付き先に困っていたと思うんだけど、いゝ嫁ぎ先と考えているんだろう。多分娘から小鳥遊の好青年ぶりは聞いていると思うし、多分小鳥遊が父親を説教して追い返した顛末も知っているハズ。殴られてもそれでも娘にしっかりと向き合っており、殴られっぱなしの小鳥遊を娘がバカにする様子も無いわけで、これで高校生でバイトまでするという甲斐性まであったら、そりゃ親として手離すはずがないだろう。だから母が娘を寝かしつけたあの台詞は、たとえ娘にその気が無くとも小鳥遊を好きになぁれという呪文なんだろうと思う。
 冒頭で種島をアテ馬扱いするとか、轟も出番が少ないし、山田もすっかり風景になってしまっているところからもわかるとおり、もう舞台はすっかり小鳥遊と伊波のものになっている。で、くどい感じはないし、笑いも散りばめられていて、決して視聴者に重苦しさを要求してないんだよ。なんかすっかりやられたといった感じだ。