閃光のナイトレイド 第12話

 風蘭のぎこちないツンデレぶりがなんとも。
 さすがに歴史との整合性を保つのが厳しくなったなぁ。まず、高千穂部隊が満洲国の式典でイニシアチヴを取るのもアレだし、上海に原爆を落とすのもなんだかなぁで。まぁ上海への原爆投下は阻止されるんだろうけど、どうもな。ツッコみついでに言っておくと、原爆の起爆装置で手間取るという設定だが、おかしいよね?。原爆なんて臨界状態にするために既存の爆薬を使うんだけど、それって単純なものだんだよ。むしろ簡単な部類。原爆製造のネックはむしろ濃縮の部分なんだけど、それはサクっと処理してるんだよな。でもまぁこの作品の場合、最後のツメで手間取るというのを提示しなければならず、ありえないことがわかってゝこうしたんだとは思うが。
 この時期確かに抗日ゲリラってのは例えば馬賊のような形でさえ存在はしてたとは思うんだけど、ヴェトナム戦争以来の組織化されたゲリラとも高千穂の部隊は違っている。また、テロ組織というのとも違う。高千穂部隊が国家という後ろ盾も無く、もちろんアジア各国の解放組織の信託を受けた超国家的組織でもなく、もちろん部隊自体が交渉の窓口たる代表を置いていそうでもないのに、あゝ要求ができるもんかね?。で、いちおう高千穂部隊の要求に従って欧米各国が代表を送り込んできたらしいが、仮に高千穂部隊がそれだけの影響力を持っていたとしても、各国代表は誰と話をしたらいゝのか、まったく雲を掴むような話だろう。上海に原爆を落とすと言われても、「はぁ」と言うしかなく、だからアジア独立を承認するってことにはまったく繋がらないとは思うのだ。いや、原爆をたった一個だけでも完成させその威力を誇示できたら、後は本当に原爆を持って無くてもブラフでなんとかなるだろとか面白そうな展開は考えられるんだけど、それ以前の問題。どこかの狂人と話をするようなもんだろ。普通はまともに相手しないわな。
 しかし桜井の描き方がまた杜撰だよな。今までがのらりくらりと真相を知らせず、うまくやってきたから、かなり頭の良いということだろうと思うんだが、葵・雪菜・棗をほったらかしはさすがにないだろう。葵なんて預言者を連れて逃げたぐらいなんだから危ないのは分かっているはず。カラの任務を与えて遠方に飛ばしてしまうか、ご苦労さんとばかりに正式に解散させて本国に送り返すとかさせるだろ。で、高千穂部隊の企みを阻止ってのは、桜井の思惑に疑念を抱いて背くって手順を踏ませるべきだと思うんだよね。尺が足りないとはいえ、あまりにも端折りすぎ。
 雪菜が兄を氏名で呼び捨てだとか、棗が勲の大義を疑って葵側につくのは丁寧な描写だと思った。が、葵はいただけない。葵に彼自身の行動の動機をなんでかわからないとか言わせてたけど、これ、スタッフが葵にどう動機を持たせたらいいのかわかんなかったというのをそっくりそのまゝ持って来たんじゃなかろうな?。いっそのこと静音を奪還しに行くってほうが潔い。多分上海に原爆を落とすと聞いて、正義に目覚めるんだろうけど、それは今までの葵の描写からすると選択肢としてありえない気がするんだよ。
 あ〜、なんでコヽに来てグダグダするかねぇ〜。いっそのこと高千穂勲を純粋な正義の味方に仕立て上げて、欧米もしくは日本が各国の思惑から彼の企てを阻止しに来て、あはれ高千穂勲は夢の途中で散りました、桜井機関はその中で彼を庇って一緒に散るもよし、やっぱり彼を敵視して討伐してもよしってとこだと思うんだけどな。そもそも高千穂勲が欧米によるアジア搾取の構造に思いを致していながら、租界という欧米利権の存在するとはいえ上海をターゲットにしたのはどうしてなのかとか、訳わかんないんだよね。それとも中国は欧米に搾取されているアジアじゃねぇっつのか?。で、預言者の神託を受けるとか言ってたが、ダメと言われたらやめるのか?。というか神託を受けてから行動を起こすだろフツーとか、もうね、今までの話が良かったから、この展開が残念でたまりませんよっと。