迷い猫オーバーラン! 第10話

 え、巧と文乃のうれしはずかしの微妙な距離感ってのをやるんじゃねぇの?。
 しかも次回もどうやらそれに触れないらしい。というか巧を物語から排除して、女たちだけの日常を描くという趣向。オモロイのは、文乃と千世の台詞が圧倒的に多いのに、焦点は彼女たち二人ではないこと。
 乙女姉が公園で子供を拾ってストレイキャッツに連れてきて、すわ新住人か?と思ったら違ってましたという流れ。実は拾われてきた子供は迷子であって、乙女はその保護者探しに奔走してましたという結末。で、その子供は親が居て、帰るところがあるが、文乃・千世・希は親がいない(千世は親が忙しくて会えないだけだが)というコントラストを浮かびださせる構成。希が子供にまた来ていゝよと言っていたが、実は遊びにきて欲しいのは希自身だったってのがわかる。
 洋菓子屋ストレイキャッツもしくは迷い猫同好会はアジールであるということだったが、親が存命の千世はともかく、両親の居ない文乃はどうころんでも帰る場所が無いということになってしまい、なんとも微妙な感じだわな。で、そういうところに思いを馳せて沈み込んでいるあたり、現状に満足していないわけで、いやこういうのはどういったらいいの?、今だけはセンチメンタリズムに浸っていゝよとでも言ったらいいのかね?。
 で、多分文乃は帰る場所は巧と決めていて、彼の帰りを待っていたんだと思うが、そういう心情をわかるはずもない巧が、これまたそういう帰る場所云々に無頓着なわけだ。でも、もし巧が帰る場所を気にするようなナイーヴさを持っていたら、とても巧と文乃はやってけないんじゃないかと思うのだ。むしろ今回のようにDVDでも見て能天気である方が二人で寂しさに震えているよりはるかにマシ。なんだけど、それはまだまだお子ちゃまの文乃にはわからないよってのがね、なんとも後味の良いものではあるんだわさ。
 しかし、乙女目当ての客しかいないって、希が入ってから洋菓子の味は良くなったんじゃねぇのか!。