聖剣の刀鍛冶 第12話

 リサ、渾身のプロポーズ。
 しかし、手を繋ぐところを人外に邪魔されるわ、決して離れませんと言ったそばからルークから引き剥がされるわで、なんともかわいそうな展開である。結局このシリーズが終わってみれば、自分の予測通りになってしまったような気がするんだが、カップリングとしてはルーク&リサ、セシリー&アリアで確定かな。で、いろいろ囃されたりしてたんだけど、徹頭徹尾ルークとセシリーは友人ポジションだったしな。他の感想サイトさんトコで、昔の女の墓にセシリーを連れて行くなんてルークはアホかという言及があり、なるほどと思ったもんだが、友人なら問題ないわな。
 対比ということであれば、それぞれのカップリングに挫折と天然が組み合わされており、言うまでもないことだが、ルークとアリアが挫折組、リサとセシリーが天然組になる。ルークもアリアもそれぞれリサとセシリーの存在が無ければダメ人間まっしぐらだし、かといってリサやセシリーはどちらかといえば人を支えることで輝けるわけで、単体としては何も出来そうに無いヘタレだったりする。4人は単体では半人前だが、お互いが支えあうことによって超人的な力を発揮するという、よくある設定ではある。
 で、普通の物語だったら、主役は一人であって、時間軸を主役に沿ってストーリーを展開し、そのなかで挫折だの成長だのってのを配置するわけなんだが、この作品は主役をルークとセシリーに分担させ、同時進行で展開していたのが印象的だった。セシリーの成長の触媒にルークが用意され、ルークの挫折からの回復にセシリーが用意されている。構造的に言えばよくできている作品だとは思った。
 しかし、最終回単体で考えると、なんとも幕引きを急ぎすぎて雑に感じた。もちろん自分の大切なものを守るといったテーマや、セシリーの成長、ルークの回復、ラスボスとの対決を詰め込まなきゃならないワケで、尺を考えるとよく出来ましたというしかないのだが、やはり流れを考えると無理が多かった。見栄を切るってのは必要なことで、クライマックスだからこそなくちゃならないものなのだが、観客としては流れに身を任せたいわけで、帯のキャッチコピーだけ見せられてもな…というのは感じた。
 さて、いちおうヒーローはルークとセシリーの二人なんだが、この作品のキモはなんといってもリサだろう。狂言回しはむしろアリアで、観客の心に無遠慮にずかずかと踏み込んでは感情を揺さぶるのはリサ。けなげで思い遣りがあるだけでなく、泣きたい時に泣き、言いたい時に言いたい放題。言いたい放題なのはルークやセシリーもそうなのだが、いかんせん二人はツンデレなので、本質を突いていたとしても嫌みったらしいことこの上ない。素直だからこそリサの感情の吐露は観客にとって心地良く、子供設定であることが遠慮ない感情の表出に役立っている…ってそういう割り当てなんだろう。むしろやり過ぎになってしまうこともあるわけなんだが、観客の感情の呼び水や代弁者にもなっており、もう美味しいところを持っていきっぱなし。たとえ前線では足手まといでも、後方では絶大な能力を発揮しており、これがルークにくびったけなんだろ?。見かけが幼いことがどういう効果を発揮するかは別にして、外見がどうであろうとこの性格付けは、ルークを自分と同一視するターゲット層にはタマランと思うよ。
 というわけで、なんとも総括なんだかそうでないんだかよくわからない記述にはなりましたが、十分堪能させていただいたということでおもろ+。音も絵も抜群の出来で、ホントこういうの見せてもらっていいの?と思うぐらい。スタッフの方々には感謝の念を表して。