いや〜、アニメーションとしても結構面白いな。

 ブラックスミス #8のアクションシーンをスロー再生で見てた。この作品の面白いところは、剣だの刀だのの武器の扱いにこだわっているところで、本物の剣技とかからすると実戦的ではないのかとも思うんだが、でも“らしさ”を研究しているようだ。DVDになると枚数も増えるのかもしれないが、いや、枚数が少なくともダイナミックとらしさには感心させられる。
 スローもなしに初見で視聴すると、どうしても台詞でストーリーを追うせいか、動きの意味にまで頭が追いつかないのだが、スローだと見えてくるものがある。護衛の三人娘との戦いだと、誰も彼もが相手の命を奪うための戦いではなく、あくまで相手の戦闘力を奪うだけの戦いってのがわかる。普通に流すと、相手が武器を持てないような腕への攻撃が成功しましたって、結果だけが戦闘終了時に確認されるだけなんだが、スローだと、一つ一つの動きが、致命傷を避けるような攻撃だというのがわかるわけだ。手加減ってわけでもないんだけど、でも殺してはいけないっていうバランス。
 そして圧巻は最後のドリス戦。ドリスは大剣を振り回すわけで、当然体全体で振り回さないといけない。が、そうすると剣の重みでどうしても慣性がつき、動きを相手に読まれてしまう。だから踏み込んで大振りするのではなく、体のひねりで剣を振り回しているようなのだ。大剣が大きいから、そのメリットを生かして大振りすれば体ががらすきになるし、剣に振り回されてしまうから動きものろくなる。だから、あくまでリーチは剣の長さに頼り、コンパクトに振ることを心がけているらしい。振り下ろした剣の動きを力で止めるのは、剣の重量からしてかなり大変なのだが、振りぬいた時にうまく力を抜いて、次の振りに繋げるようにコントロールしているようにも見える。まぁ筋肉の質にもよるのだが、ドリスの体格、体の細さからすると、あのスピードであの剣(全部鉄で出来ているのなら尚更)を振り回すのは、確かにファンタジーではあるんだけどな。
 対するセシリーは、ドリスを攻撃するのではなく、よけるのに専念。もちろん全く攻撃しないわけではないのだが、彼女はドリスの説得が優先事項なんで、どうも初めっからそう決めてかゝっているみたい。マトモにドリスの大剣と打ち合えば、アリアが折れてしまうのは必定なんで、つばぜり合いなんて無理だろうし。飛んだり跳ねたりして忙しいのだが、スローでみると、実はセシリーは剣を右から左、そして左から右に持ち替えたりしていて驚く。どうもドリスの次の攻撃を読んで持ち替えているようにも見える。
 で、この描写が8〜9秒ほど。動画スタッフもココに集中したんだろうなというぐらいの気合。別にここにこんなに凝らなくても、ストーリーとして少しも品質が落ちたりはしないんだけどな。
 まぁルークに刀の製作依頼をしているぐらいだから、前までで刀の動きを取り入れた剣のトレーニングとかあったりして、まぁこだわりは凄いものがある。そこまでやっても大半の視聴者はわかんないだろ?。デフォルメを効果的に使って迫力のある絵作りとかはよくあるけど、たとえ現実にはありえない動きでも、極力リアリティを出そうとする気迫には参ります。