給料は誰のものか

 古来、欧州では部族共同体というものがあって、特に土地の私有制とかが意識されていなかったのですが、経済が発展するにつれ土地・財産(資本ってヤツか?)の私有が受け入れられていったように思います。労働した結果、財が得られる訳ですが、その財は一体誰のものか?といった点については、結構ローマ帝国時代から資本主義というものは成り立っていたのではないかと思うこのごろ。私有財産が多いものほど得られる財も多いというのは理屈としてわかるんだけど、そのため、労働しなくてもより労働したものより財が多く得られるということもわかるんだけど、そういう傾向ってのは結局世の中をだめにしないか?とも考えられるわけで。ニートって非難するのも、そいつに金が無いからだけであって、親に財産・権力があり、それを受け継ぐ好条件があるというだけで、やっていることはニートと同じか、実はニートよりダメな場合があってもニートとは呼ばれない件について。
 あまりこねくり回してもしょうがないのですが、単に労働で得た財が、不当に搾取されていないかどうかってことですよ。というか現在行われている不当とも思える搾取というものは、もともとそんなに非難されるべきものでもなかったみたい。それがいいことだとは言えないんだけど。
 例えば、正社員であれば会社が社会保障費(年金であれば半分らしいが)とかを払ってくれているということなんですが、それは本当に正しいのか?。会社のその払ってくれているというお金というものは、そもそも社員が労働をした結果会社にもたらされていたわけで、結局会社が社員にその分も払った上で、社員があらためて社会保障費の全額を払うという形でも同じなはずだ。例えば今社会保障費として年間に社員自身が20万、会社が20万払ってくれているという形になっているとして、それは実は正しくは無く、会社が払っているという20万は給料として社員に払われて、計40万を社員が払うという形にしたって、国に払う社会保障費は変わらない。別に不当に社員の所得が増えるわけでもない。本来社員に渡されるべき金を会社が払ってやっている形にしたいんだろう、社員は半分も肩代わりしてもらっているんだから会社を有り難がれという、ちょっと傲慢な体系になっているのではないかとも思うわけです。
 日本の行政も結局は税金でまかなわれていますが、その税金も本当は誰が払っているんだろうか?。日本は法人税が高く、所得税が少ないとかいわれていますが、その法人とやらも会社とかいう人格の無い立派な存在というものが多額の税金を払ってやっているのではなくて、やっぱり労働する人間の総体が必死こ働いたアガリを納めているに過ぎない。貧乏人が払う所得税が少ないというのはちょっとおかしくて、むしろ貧乏人に正当な報酬を与えれば、その貧乏人だって所得が増えた分、所得税を多額納めるのであれば、結果として会社員の懐に入る量と国庫に入る税金の量を変わらなくすることだって出来る。結局、労働者が働いて得られた金が税金として国に納められているだけなのに、会社とか言う立派な存在が労働者の代わりに税金を払ってやっており、そのおかげで日本が成り立っているんだという形にしたいんだろう。
 まぁ結局こういう考え方も、実はかなり無茶なものではあります。もともと私有財産(国有財産だって、元は国民の労働の結果の蓄積に過ぎないが、それはさておき)を基に労働環境が整えられているわけで、そういう前提条件を全く無視して、労働者が偉いというのもおかしい話ですし。いわゆる資本家とかの役割を考えると、得られた利益のバランスが重要なのであって、どちらが偉いというものでもないとは思います。しかし創業者が軒並みいなくなった現在、仕事からかけ離れた手段で出世して管理職になり、権力維持の体制を保全することだけに血道をあげているような勘違いをしてしまっている人も多くなっているのではないかと概察いたします。もちろん労務・業務管理をそつなく行う、管理職としてのエキスパートも世の中には多くいらっしゃいますので、管理職のすべてが場を荒らしているというつもりもございませんが。
 話はそれましたが、今でこそ、高かった法人税が不況のためか税率が下がり、所得税も高額所得者には甘く、そうでない層は所得税だけでなく消費税という方法でもふんだくられているわけなんですが、どうもこういう政策が世の中を殺伐とさせているらしい。法人税が高く、賃金は安く抑えられているけれども、所得税が安かった昔というのは、従業員を安くこき使いはするんだけど、同時に従業員を(形の上だけでも というのが上の趣旨でしたが)守るということもやってくれていたわけで、それなりの理屈があったのだと思います。しかし、これだけ不正規雇用が増加して、金持ちのためだけの景気が良くなったといわれても、それは本来労働者に払われるべき財が、少数の“勝ち組”に掠め取られているだけであって、なんかずるいヤツにいいようにされているっていうか。一部の金持ちに有利なように法律が変えられているんだけど、それはいいのか?。かといって働きもせず、税金を払ってやっているんだから、あれもしろこれもしろという乞食とやっていることが同じなのに傲慢な層もいて、右を向いても左を見ても@傷だらけの人生みたいなことになっていて、混乱を極めているとも思うんですが。