天使の3P 第6話

 なんかいろいろおかしいのに、割とよかったな。
 例えば、これが引越しの話だったらこんなに引きとめはしないはず。で、イギリスにいくのも広義の引越し。誰も経済生活のことや、イギリスに行ったときの生活環境の激変について触れない件。小学生に今自己決定権があるという困難さを考えると、感情論で引っ張るのはまぁわかるんだけどね。
 しかし今回ちょっと気が引き締まったところは希美にもうとっくに幸せと言わせてる場面。これはなかなか小学生には言わせられない台詞のはず。が、希美は母親をなくしており、そこからの今の状況があるからで、これはある意味納得。年端もいかない子供なら、何が幸せで不幸せなのかすらわからないが、彼女は不幸せを経験しているわけでちゃんと説得性は持たせられてる。
 あと、響という当事者の中では一番のヨソ者に行くなとよく言わせたなというところ。これは逆説的に身内に近ければ近いほど(それでも他人でしかないので)言えないから、一番の外側にいる人間にしか言えないというところだね。行くなといってもその発言力はやはり最低であって、一番重みがあるのは潤とそらの発言。だから響の発言はそれ自体に力があるというのではなくて、潤とそらの本音を引き出す役回り。経済的側面をおそらくわかってるはずの桜花や正義には一切発言をさせてない。
 あとは親族関係の認知ができているというのがポイント高いかな。イギリスにはいかないけど、関係の承認ができたらライアンも得るものがあったということになる。今日本にいるという決断をすれば、当然高校や大学卒業まで日本で過ごすことになり、そうなると就職も日本ということになるが、彼女の選択によっては国際的な職業についてライアンとの接点が増えるという将来がないわけでもない。今イギリスに行っても当面の経済生活には困らなくても外国人の血が混じっていることによる差別だとか不安材料がないわけでもないので、どっちを選択しても万々歳ではないだろう。そのへん子供の貧困云々がクローズアップされている現代の日本の事情で、孤児院育ちがどうなるかってのはいろいろ不安があるのだけども、そのへんのリアリティを持たせていないがゆえに物語が物語として成立してるのかなという感じ。