冴えない彼女の育てかた ♭ 第1話

 なんか手堅いな。
 面白いっちゃぁ面白いとは思うんだけど、退屈しないというだけであって、語られてることは特に新味があるわけでもないし、この程度でこの作品の真価を語るというのも第1話というところからもあんまり気が進まない。今のところはベタベタな萌え描写で偽装しながら作品論を語るってところで、これは前期から変わってないところだし、でも偽装といゝながらもやっぱ萌えもエンタメとしては本筋には違いないわけで、そのへんの転倒というか倒置というか、本作がそもそもメタ構造なのでそれをいろいろ弄んで視聴者を楽しませているわけで、恋の鞘当てを流しておいてこのタイミングで物語論に入りますか〜という音楽でいうところの転調を楽しませるあたりがもうね。今回あたりは作品を作るうえでの、というかコラボというのは相手に対する敬意、それも相手の才能に対する正当な評価だとか、それが自然な心の湧き上がりがあれば美しいよねというのが織り交ぜられて、そういうのをすべてひっくるめてこれがテーマなんですよという構成がまぁ見事ではあるわな。前回も氷堂の随伴を聞いて各キャラのイマジネーションが湧き上がっていく様子とか、ジャズのアドリヴセッションにも似た何かになっていて、まとまりがよいの何の。で、そういうのは不協和音があるからこそハーモニーが成立したときに対比として美しく輝くというのともセットになっていてもう呆然と手のひらで踊らされるしかない。
 まぁそんなわけで、最初っから飛ばしてないですか?という気がしないでもないが、それは今までの萌え作品を基準にするからそう思うのであって、しかし我侭な視聴者としては最初でこれだけのことを基準として提示してるんだから、おそらくこれ以降もっと面白くなるんでしょという期待をしてしまう。それが構造自体を変えてくるのか、新奇さを出してくるのか、基本は変わらないけどコントロールを極めてくるのかわかんないけど、うん、まぁそんなとこ。