無彩限のファントム・ワールド 第13話

 ウヲッ?!、まさかこゝで社会問題が出てくるとは。
 しかも弱者たる低廉労働者のメタファーがエニグマだという倒置もありで。
 ルヽが主人公の妄想が生み出したファントムというのは確信というほどのものではなかったが、そうだろうなと思っていた。が、主人公そのものというか分身というのはさすがに読めなかったな。ルヽに主人公の特殊能力が眠っているというのはご都合主義だろうけど、そのへん最后の力技といったところ。
 うーん、評価はちょっと難しい。お話の出来としては決してよいとはいえないと思うのだが、とはいえ、心理学や精神医学の見地を持ち込んで妖怪との悪魔合体をしてみせるってのは試みとして面白い。個人的には何を元ネタにどう処理するのかというのを自分の記憶を頼りにいろいろ考えるという楽しみ方が出来たので、話の行き着く先がどうにもシオシオだとしてもそれなりに面白かったという印象。もうちょっとリアリティ方面に掘り下げてもという可能性が思い浮かぶが、そもそもが嘘理論なので突き詰めれば突き詰めるほどあほらしくなるので、素材の調理方法としてこのぐらい軽いテイストのほうが無駄なことを考えずに済むという判断だったのだろうし、それは大局において正しいとは思う。
 こうやって最終回まで視聴してみると、そりゃよっぽど大人気ってことになってれば話は違うが、もう続編は無しの方向で作られたと思うしかない。そうなるとこの作品の企画意図というのがわかりにくい。これでなにかを伝えるつもりがあったのだろうかとか、これで売れると思っていたのだろうかとかいろいろ仕事やマス・コミュニケーションとしては不可解。但し、これがスタッフが興味のある分野でちょっと遊んでみたかったから趣味全開で作ってみましたとでもいうのなら、それが一番納得できる。で、そういう作品だと考えて視聴するとこれはこれで楽しい作品だったなといったところ。精神医学や心理学を極めている人には噴飯物の出来だろうし、娯楽要素は定番で目新しいところはあまりないから中途半端。だから他人にはお勧めという作品ではないが、個人的にはこのぐらいのテイストで十分楽しめたので決して悪い印象はなかったな。