夏目友人帳 伍 第11話

 中級妖怪のつぶやきで〆とはなかなかおしゃれだと思ってしまった。
 夏目が風邪を引いていろいろ周囲が気遣うお話。まぁなんてことのない話ではあるが、今までの蓄積があるからこそジーンとくるということもあって視聴後感は悪くなかった。
 クール話数が少なくてなにやら物足りない感じはするが、こんなものかな。このクールを通じてなにか貫くテーマがあるのかなと期待していたけど、普通に原作の話が溜まったから順次アニメ化してみましたってところか。まぁだからよくないとかそういうつもりもないいんだけど、今まで登場してきたキャラをできるだけファンの頭から忘れないように出番を作っているようにも見え、なかなかアニメ化も大変だなと思った次第。
 前にも書いた気はするが、この作品も長期シリーズとなり、その間に日本に起きたことを考えるとなかなか感慨深い。現実には弱者がより弱くなり、強者…というよりは身勝手な支配層が臆面もなくやりたい放題やってる状況になるとはちょっと方向性としてそうなるとは思ってなかったので、このアニメの立ち位置ってのに思いを馳せると物悲しい限りである。別に原作者に気概をというつもりは毛頭ないのだが、このようにいかにも弱者に寄り添う作品を世に問うたからといって、それで社会問題が共有化されて懐の深い社会構造になることは決してないんだなと思うとまぁそうだよねというしかない。アイドル崩れが政治に口出してやれソーシャルインクルージョンといってみたところで、そんなのはこういうサブカルがもっと昔から発言していたことであって、メディアとしての発信力なんてとっくの昔からなかったんだなという。