甲鉄城のカバネリ 第11話

 いわゆる鬱展開の短さよ。
 ほんとうなら生駒にもっと悩む時間を与えるはずなんだろうが、尺があまりにも短いのだろう。というか、この作品のメッセーヂ性を考えたら別にこの部分で時間を使う必要はない。で、ダイジェスト感がないのは見事かな。
 もうちょっと美馬を悪役に仕立てるのかと思ったら、むしろ悪役は父親に多く課せられていたという。なんか今回の話でふと思い浮かんだのは美馬は氷河期世代のメタファーなのかなと。で、彼の父親はポスト団塊の特徴が色濃く現れてる。団塊ならもうちょっと理想に傾いているし、ポスト団塊後の白け世代はもうちょっと筋論に敏感。昭和ヒトケタ世代や団塊の敷いたレールやシステムに従ってるだけなのに、彼らほど情熱的でも理想を追及するわけでもなし、能力はないからやってることはマウンティングだけ。アニメは大抵登場人物は若めにするから、だいたいそのズレと合う。
 調整士?かなんか、来栖に拘束されていたあのオッサンの役どころが美味しい。あゝいう、物語上の政治的に中立な役どころのキャラが輝くと割と全体が締まるんだよね。オッペンハイマーのように、善悪を意識して後悔しだすとそれはそれで美しくもあるんだけど、逆にこういう視点があると、「オッペンハイマーさん、あんたの後悔は後付けであって、本当は極東の猿相手に人体実験したくてたまらなかったんでしょ」というのが見えてきて物語も現実も深みが増す。