ガールズ&パンツァー 第8話

 包囲戦とはまさにスターリングラードなのか。
 武部の担当回はまだやんないのか。いちおう西住家の事情はやってるから、みほ担当回ってのはやんないみたいだね。まほがみほ寄りの心情になりつゝあるっぽい。
 勝たないと廃校ってのは大方の予想通りなんだけど、ずっと気になってたのは生徒会の面々がいつ、どのようにみほに切り出すのかってこと。『ガールズ&パンツァー』はスポーツアニメとしてダメだと思うということ - 法華狼の日記さんのエントリーを読んだら、あゝ確かにそうなんだけど、自分としてもこの作品って、いゝ話を継ぎはぎした典型的な萌えアニメと認識してるんで、あんまドラマ性とかは特筆すべき点は無いと思っている。しかし、折り返し地点を過ぎてようやく気付いたのだが、おそらくこの作品の一番のテーマは組織論だという気がしてきたのだ。前にも言及したとおり、主人公のみほ(と秋山)以外はド素人の集団をどう目的に沿って最適化するか?という視点で眺めると、大体においてほゞ最善手を提示しているように見えるんだよね。まぁ上記のリンク先について言及すれば、組織運営のために最善手を打っているのに負けてしまったら物語がそこで終了してしまうから、ストーリーラインとして負けない以外の選択肢はないだけのお話。いわばこの作品は組織論を語るためにドラマ性を捨て去っていると考えるほうがしっくりくる。最善手を打っているのに負けちゃったでは、理想の組織論を語れない。ちなみに勝つことが必須なのではなく、負けないことが必須。それは一貫してる。…話が盛大にズれた。
 というわけで、廃校というプレッシャーをかける話をいつみほにするのかは実は現実の組織でも重要な場面。普通なら最初に味方の背負っている条件としてすべてを明かすのがセオリー。角谷杏が言い出すタイミングはいくらかあって、結局絶体絶命のタイミングでみほに明かすという「答え」になった。まぁどうでもいゝことを長々と連ねてこういうのもなんだが、こうやって明かされてしまって、今までを振り返ってみると、言わなくて済むのであれば言わずに済ますのが一番で、この負けたらすべてを失うというこのタイミングこそが絶好だというのがわかる。今までのどのタイミングでみほに言ったとしても、それはみほを萎縮させるだけでなんの役にも立たないというのが示されてわかるというか。杏が際立つシーンはあまりないんだけど、この結果から彼女の器が“とてつもなく”大きいというのがわかる。あんこう鍋に呼んだときに明かすのだろうと高を括っていたが、よくあそこで我慢したと思う。もちろんこれはフィクションなので、みほに明かしてそれで奮起して勝つという展開にもできるんだけど、それではあまりにリアリティがない。また、もちろんこの絶体絶命のタイミングになって明かしたからそれで勝つというのにリアリティがあるのかと言われたら、囮に引っかゝって包囲された時点でアウトなんだけど、でも「今までずっと話す機会があって、いつが一番良いタイミングか」と言われたら、やはりこういうタイミングしかないと思う。
 組織論ついでに言えば、今回周囲が浮き足立って、「流れに乗るんだ」とばかりに冷静さを失って囮に引っかゝったのだが、ではみほが周囲を黙らせてたらピンチに遭わなかったのか?といわれると、これまた難しい。おそらくイケイケドンドンの雰囲気を壊したら、士気がガタ落ちしてたゞろう。周囲の雰囲気に流されてしまったみほを非難するのは簡単だが、全員が優れた判断力と自己コントロール能力を持った集団ならともかく、成長過程のチームをどう動かすか?という視点で見たらやはりみほの判断は間違っていないと思わざるを得ない。しかもみほには彼女を信じ、理解者でもあり有力なフォロワーであるあんこうチームがいるということに涙せざるを得ない。しかも彼女たちはみほが努力して手に入れたんじゃなくて、彼女たちがみほを自ら支えているという構図になっており、それがこの作品が単純な「世界を救うのは勇者一人」というものではないことに感心せざるを得ないんだよね。まぁ大洗が勝つのは間違いないんだろうケド、仮に学校を救った最大の功労者を挙げるとすればみほではなく、沙織と華ということになると思うがなぁ。いや、組織の運営者としては杏になるんだろうが。というより、各人が有機的に影響を与え合っていて、誰が本当の功労者か?という視点こそが要らなくなってしまうんだと思うが。