http://ncode.syosetu.com/n2267be/、いちおう目を通したよ。

 http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130413/p1さんトコで絶賛だったので読んでみた。
 最初のあたりは今一ノれなかったんだけど、我慢して2章まで読んだら止まらなくなった。もう泣きまくり。実は長ったらしくてクォリティはあんまり高いとは言えないんだけど、勢いがあるのかね。
 作品紹介にもあるんだけど、構成は主人公が異世界で死んだらきりのよいところで生き返るというもの。ちょうどRPGセーブポイントまで都合よく戻るんだよ。昔自分がファイヤーエムブレムをやってたときに、自陣営キャラが一人でも死ぬとセーブポイントでやりなおしていたが、基本それとおんなじ。主人公側の人間が死んだりすると、あれよあれよという間に主人公の分が悪くなって死んでセーブポイントまで強制帰還させられる。自分がこの手の構造の作品を見知ったのはシュタゲなんだけど、あれは主人公が意図して時間を溯れるが、これは主人公はセーブポイントを選べない。なんかファミコン黎明期の合言葉によるセーブみたいなかんじだな。
 自分は結構こういうRPGセーブポイントを利用したような物語の構造はちょっと忌避感があるんだけど、シュタゲもそうだが、この作品もご都合主義というよりは、物語の奥行きを広げるために使われており、ちゃんと意味のあるものになっている。それでも自分自身は「死んだらやり直せない」という意識が強く、いくら意味があるとは言ってもどうしても納得がいかないものがある。シュタゲの感想でも述べたが、「やり直し」とは試行錯誤を劇的に演出する手段となっているわけで、、でも安直に生き返りはやって欲しくないなぁと。
 あと、やはり長すぎる。自分はリンク先とは違って、もうエッセンスだけ拾って流し読みって感じになってた。強敵との対戦描写はまどろっこしいと思うだけになってしまっていた。そういうことを考えると、古典ってのはやはり残るだけのものはあるなと感心する。極限まで描写を削って、とにかく必要のないものは削ぎ落とす。そのおかげで例え文章が短くともその短さを感じさせず、長くてもそれだけの理由があって長さを感じさせないんだなと。たゞ、こういう投稿小説だと一話一話を短くしてしまったら間が空きすぎるんだろうね。わりかし新しい話が頻繁にUPされるんだけど、この作品を心待ちにしている人は1話あたりの長さが短いと物足りなく感じてしまうんだろう。
 あまり更新されなくなっているんだけど、http://ncode.syosetu.com/n3406u/を前からチェックして比較してみると、ヒモのほうが文章が読みやすく、完成度は高め。でもヒモのほうが主人公に都合がよい設定なため、やはりこっちのほうが心を揺り動かされる度合いは強い。まどろっこしさを厭わず、話が長いのを時間を気にせず読める人はラノベより重厚なストーリーを楽しめるような気がする。