ちはやふる 第12話

 部長がトロフィーを受け取るんじゃないんだ。
 前回は前回で激情的な作りが見てゝ奮い立つものがあったんだけど、今回の話の組み立て、なかなかにして感服仕る。これでようやっと自分の中ではモーパイのディンギーレースと並んだという印象だ。即ち、大会出場者は結果を求めてお客さん的態度で場を利用するってんじゃなくて、みんなの想いがあの場を成り立たせているという構造。
 で、机君の成長が著しかったのだが、奏も肉まん君も成長していて、これがまた嬉しい。いや、奏の薀蓄がまた聞けて満足ではあったのだが、やはりテスト順位がどうでもよくなっているってところにポイントが置かれていると感じた。しかしまぁかるた部の連中はどいつもこいつも自主性があってなんともな。もちろんこういうのは物語のパターンではあるのでアレなんだが、最近の生徒って受身でしかないのが多そうな気がするので、その点リアリティとか気にしてしまう。最近読んだのでは、これ

 東大教養学部で全学必修の授業を受け持っていた頃の話です。僕は頻繁に学生アンケートの類を取るのですが、その中で

 「伊東教官は大変に怠惰な授業をする」という意見がありました。

 僕が講義の準備などに一定以上時間や手間をかけるのは周知のことで、その授業もティーチングアシスタントたちと進めていたのですが、あまりに重症な病の回答でスタッフ一同「へぇ」と感心するやらあきれるやら。どんな回答かというと

 「そもそも、授業というのは、教師が黒板に一つひとつ、問題と模範解答を板書するのが正しいのである・・・」

 あたりに始まって、この子が経験してきた、主としてペーパーテストで○がつく受験勉強の1つのタイプを絶対化する趣旨のものでした。

 「ところが東大というのはどの教師も腐っている。ちっとも板書をしない。そもそも問題などというものは、見たことがないものが解けるわけはないに、解けない問題、解き方のパターンを教えない問題ばかりを出してくる。こんな問題を出すのは時間の無駄だ」

 はぁ、前人未踏の問題は誰にも解けないということですか・・・この時点でこの子は東大に、いや、そもそも大学というものに入ってきたのが間違いだったのではないか、と案じてしまいました。

 なんかゞ衝撃的で、天下の最高学府、東大生ですら与えられるのがあたりまえって感覚なのかと思ってた。いやまぁ自分の感覚では東大生は言われたことを淡々とやるようなロボットのような連中で、自分の頭で考えるってのはむしろ京大生って感覚があったので、それほど衝撃的ってほどでもなかったのはそうなんだけど。
 先生の態度にも考えさせられた。彼女が教えた部活動の生徒がインターハイだというんだから、そりゃテニス優先だろとは思う。東京だと高校数が多いはずなんで、インターハイに出るのはかなり大変な気がするんだよね。都大会だけじゃなくて、南?関東大会だかでも上位に入らないと出られないはず。もちろん素材の良い生徒が入っているんだろうけど、おそらくテニスでインターハイに出るほうがかるたで東京代表になるより難しいはず。それがかるた部の面々の練習の様子を見て思うところがあったはずに違いない。テニスも大変だけど、彼女の指導の賜物ってのがあって、反面かるたは生徒の力だけで勝ち取ったという自主性の要素もあったと思うんだよ。かるた部に見せる表情とは別に敬意にも近いものがあったはずで、だからこそ理科の教師である彼女が百人一首を理解しようとしていたという描写になっていたと思う。
 しかし、かなり駆け足で、挫折らしいものがなくトントン拍子に進んで来すぎと思っていたんだけど、よくよく考えたら全25話の半分で全国大会の近江神宮に来るってタイミングはなるほどゝ思わされた。たった1話といえども挫折なんかで時間を浪費するわけにはいかなかったんだろう。新との和解というか再結合もミッションとして残っており、あと1クールが本当の見せ所なんだろうね。展開が早いのを逆に利用して、実はこんなこともありましたこんなことも…というのはうまい構成ではあるんだが、やりすぎると飽きるしねぇ。残り半分、このまゝ上り調子でいこうとも、ジェットコースター的展開でもどちらでも楽しめそう。というか、2が1月より放映だから、いろいろ保留されているものもあるんだろうなと思ったり。