まよチキ! 第9話

 今回もえらい強引な展開だったな。
 正直スバルが奏を迎えにくるところまで退屈してたんだけど、それ以降そういうのが気になっていろいろ考えていた。
 前回も述べたとおり、奏は実は気が利く人間なので、何の理由もなしに周囲を振り回すような行動はしないと思われる。奏はスバルの気持ちを知っているわけであり、恋のキューピッド役を買って出ているわけなんだが、そうなると今回のメイド喫茶で宇佐美と近次郎の様子を見に来て以降の思惑が近次郎視点のまゝ視聴してしまうと今一わかり辛い。
 しかし、他のことは取り去ってたゞひたすら奏視点で見てみると、

  • 宇佐美と近次郎が同じ店で働いている…なんでだろ?
  • 宇佐美と近次郎の関係性を確認するため、二人の時間を買い取って同席させて様子を見る。
  • 恥ずかしい格好を好きな人に見られたくないのくだりで、宇佐美に近次郎への思いを言葉や態度で否定させる。
  • おそらく近次郎は宇佐美に対して恋愛感情は抱いていないだろうということを確認、もしそういうのがあったとしてもそれはメイド萌えであると誘導する。
  • 用は済んだので帰る。おそらく近次郎が倒れている際にスバルに連絡を入れている。

 とまぁ、かなりわかりづらい描写ではあるが、スバルへの支援砲撃を的確に行っている模様。おそらく墓参りで二人が親交を深めたのは知っているだろう。で、近次郎がスバルを追いかけてきた時点で近次郎の気持ちが宇佐美よりはスバルに接近していることを確認、店に電話をかけることは後始末でもあるし、二人が話す時間を確保したわけだ。もし近次郎が追いかけてこなければ、彼がメイド萌えであるという状況を長引かせておき、また彼がスバルに近づくための手段をこうじればよいだけのこと…というスキームになっていた。おそらく奏はたゞの騒動屋ではなく、すべてを計算ずくで行っている模様。
 しかし奏は宇佐美の近次郎への想いを知っていて、スバルのためにそっと引き剥がそうとはするものゝ、宇佐美の気持ちは大切にはしていて、ぶち壊そうって感じではないんだよね。かなり本音で向き合っているようだし、そのへん宇佐美に喰ってかゝられても「カネ持ちケンカせず」の態度に終始。責任転嫁の著しい昨今の経営層・管理職がデタラメな指示をして現場を混乱させて部下や下っ端のせいにして、そのことをもって権力構造を強化しているという恐るべき状況とくらべると、はるかに有能なあり方ではある。しかし、宇佐美が近次郎を自宅に呼んで食事させるだとか、今回のようにバイトに呼んで二人の距離を縮めようとするなど、表面的なツンデレとは対照的にアタックを仕掛けているわけで、スバルとくっつけたい奏としては油断も隙もありゃしねぇってとこだろう。
 しかしなんだな、脚本としてもそういう奏の思惑は極力視聴者には隠して、当事者同士が近次郎を取り合う狂想曲として仕立て上げなくちゃならないわけで、このような手の込んだことをしなくちゃならないってのも御苦労さんなところではある。