日常 総評

 実はあんまり言及することは無いんだよな。フツーに面白いし、クォリティは非常に高い。が、なんか物足りない。前半部分は結構大笑いしたような記憶があるんだが、後半になってほのぼの路線を押し出してきて自分的には突き抜けがもうちょっと欲しいと思ったのだ。でもまぁギャグの押し出し路線をやってたら、恐らく笑いのインフレで早晩中身の無いものになってしまったろうから、こうやって感情のコントロールをするのは正しい。
 こういう作品にかなり気合を入れてくるのも自分的にはむしろ過剰品質っぽくて心配になってくるぐらいだ。もしこの作品が大人気で仮に継続って事になった場合、気合が長続きしないだろぐらいに思ってしまう。かといって手を抜けばそのときはまた自分も文句を言うだろうから、いや視聴者として我儘なんだろう。
 自分的にこの「日常」という作品は「Aチャンネル」と対比されるべきものと考えていた。Aのほうはディスコミニュケーションからの進展なのに対し、こちらはおだやかに繋がるといったところ。まぁ自分もこれらの作品に対してそうたくさん情報収集しているわけでもないんだが、なんかAのほうが人気があるような雰囲気だったように思う。こうやって見比べてみるとなるほど納得するものがある。Aのほうは斥力から引力に向けての変化が面白いんだよ。最初のほうはむかむかするんだけど、中盤から終盤にかけての変化がそれと意識させられないんだけど妙なドライヴ感がある。日常のほうはどれも単発としてよく出来たエピソードなんだけど、時間の経過によるダイナミズムはあまり無い。Aのほうは毛嫌い感の消失が味になっており、日常は惰性で繰り返されるちょっといゝエピソードの積み重ね。惰性だからと言って「じゃぁ見なくてもいゝか」とは決してならないんだけど、飽きちゃう人もいるのかな。
 というわけで、あまり名前を聞いたことの無い声優たちの演技も熱演だったし、絵も音も素晴らしかった。続編があったらやはりチェックすると思うんだけど、これだけクォリティが高いのに、しかもこの作品の美点をそれほど語らずに敢えて評価はおもろにしてみる。