ラストエグザイル-銀翼のファム- 第16話

 いや、サーラには、たゞひたすら己の不明を恥じよとしか。
 うーん、なんかポカーンとしながら見てた。まぁ言うなれば従来の形式という意味で、物語として破綻しちゃってると思うんだけど、じゃぁ必ずしもそれに従う必要があるのか?と言われゝば、それも違うしで、なんとも判断に迷う。
 この作品が大人と小人を峻別しているというのは前にも述べたと思うんだけど、オーランの描き方があまりにマヌケでどうにもノれなかった。まぁサーラがバカなのはいゝんだよ。武将を喪って泣く位なら、初めから投降の呼びかけをしとけばいゝんだろうけど、それすらせず、戦闘中侍女とゲームをしているという自覚のなさも、後でサーラが後悔して泣くことの陳腐さを引き立てんがためなので、構わないと言えば構わない。この物語がある程度現実の日本の姿であるというのを考えると、いわゆる「子ども」というのがある特定の利権者にとって都合の良い存在で、「子ども」自体をまともにするしないは別にして徹底的に利用される…しかも当の「子ども」はそれに気付かず、正論を振りかざした挙句、使い捨てにされるという構造は確かに今の日本のあり方にそっくり。だが、オーランは大人の側でありながら、そういう構造を客観的に眺められず、かといって任務に忠実というわけでもなく、なんとも愚かな存在に描かれてしまっている。いや、フツー、総司令官を置かずにそれぞれの艦隊司令が独立して判断するという形式もありえないんだけど、もしオーランが無骨者であるという設定を生かすのであれば、いや、それでも戦闘中に裏切って味方の背中を撃つというのは社会人として許されんだろ。それなら最初っから離脱しとけよと。
 その点ソルーシュはファラフナーズの理想を自分で咀嚼して理解しており、アウグスタは民の代表でしかないと言っていたし、戦闘も玉を奪還したら勝ちってわかってたしな。というかヴァサントはサーラを前面に押し出して戦えば相手は手を出せないだろうという読みも無く、アウグスタ乗艦を突撃させるってのもアホかと思わざるを得ない。皇族が前線に出て士気が上がるってのはあるんだけど、それにしても最前線ってことはねぇだろ。統合軍の他の面々も今一な感じだったが、むしろあまりでしゃばらないほうが良かったのかも。
 いや、ふと思ったんだが、ヴァサントにしろルスキニアにしろ、多分世界平和だとか民の安寧だとかいう、いわゆる政策を巡って対立しているわけなんだが、こういう描写が正しいと仮定すると、むしろ政局で誰かが安定政権を担ったほうが理想実現には都合が良いってことを言いたいんだろうか?。いや、ルスキニアの真の意図がどこにあるのかもわかんないんだけど、ヘンな話、サーラがルスキニアを信任して、ヴァサントのいうことに耳を傾けなかったら、グラキエス亡き後、アナトレーも征服して、グランレイク湖岸は晴れてアデス連邦下に統一されて戦乱は早く収まったんじゃない?。旧領安堵はその後でもよかったわけだし。どうせ失われた命は戻ってこないってのもあるし。ルスキニアあたりはファラフナーズの仇をとるのが第一義で、いったんアデスがグランレイク湖岸諸国を統一したら、その統治にはあまり興味がなさそうだし。でもまぁそういう話にしちゃったら、確かに物語にはならなくなっちゃうんだよな。