化物語 第3話

 阿良々木、もげろっ!。
 いや、なんだろ?、たゞのひねくった会話劇でしかないんだけど、オジサン、どきどきしちゃうよ。いやまったく。
 戦場ヶ原、いけすかねぇ娘とばっかり思っていたんだけど、なかなかにしてかわいらしいねぇ。多分彼女は中学時分ちやほやされもして、それをわかっていたんだろうけど、一連の出来事から他人を見る目が変わったんだろうな。大変な時にだれも彼女を助けてくれなくて、でも彼女は彼女自身を守らなくてはならなくて、壊れてしまった彼女を遠巻きにして見守る人はいるものゝ、基本信用のならない他人しかいないという認識だったのだろう。自分の気持ちを話したいのだけども、話したらヒかれるのがわかっていて、いっそ近づいて傷つくゞらいなら最初から他人を遠ざけていたわけだろ。
 それが阿良々木が自分のことを気にかけてくるのをいつも通り撃退してみたら、自分の手助けになってくれるという。阿良々木が言うところの戦場ヶ原を実際に助けてくれたのは忍野なのかもしれないが、忍野が戦場ヶ原のことを気にかけて手を差し伸べたわけではない。忍野は自分から助けて欲しいと自分で頼みに来た人間を相手にするのであり、彼に話しかけない人間は放置する。戦場ヶ原にとっての恩人はそりゃ阿良々木たゞ一人であり、忍野は道具でしかないんだよな。だからこそ彼に返礼したいと申し出るわけだ。
 もちろん真意はそうではない。だが、いわゆるフツーの女の子として接近すると、きっと阿良々木は戦場ヶ原をたくさんいる女の子のうちの一人としてしか見ない。阿良々木を傷つけるような発言のように聞こえるが、よくよく考えてみるとあれは彼に戦場ヶ原のパーソナリティを刻み込む手段であって、むしろ彼女の必死さ・知恵を感じざるを得ない。恐らく彼女にとって阿良々木は以降の彼女の人生でもう絶対巡りあうことのない人間だろ。そりゃ地位もカネもないうえに、鉄壁の人除け防御をほどこしてきたのに、彼女の一番の苦境を救いにきた王子様になっているわけだからなぁ。そして阿良々木には彼女を手に入れる資格はあるだろ。戦場ヶ原が美人であるぐらいのメリットぐらいお安い御用ってなもんだ。
 さて、八九寺なんだが、戦場ヶ原には見えているんだろうか?。見えていないとずっと思っていたんだが、見えていてもおかしくないような描写になってゝ迷う。