侵略!?イカ娘 第9話

 コーヒーカップだけになった時点で客は一人も入らないだろ。
 複雑な過程のロールプレイング、計画に振り回される、寂れ行く遊園地の巻の三本。今回はやたら面白かったな。というか、視聴時点での精神状態によるのかな?。前二本が世相の皮肉で、三本目が甘辛な感じで、こういうのが本作品の風味だと思ってしまうが。
 なんといっても三本目。実は最近出張で自分が若い頃を過ごしたところを通りかゝったのだが、あまりの変貌振りにかなり動揺してしまった。ある通りなんだが、道路拡張した雰囲気は感じるのだが、もう記憶に残っている店舗が4〜5軒ぐらいしかなく、それ以外の何十軒というか三桁に達しそうな建物が更新されていたようで、昔の面影なんてかすかに残るぐらいだった。んHKラジオで吉幾三だったかゞ、一度はふるさとに…なんて歌ってたが、あそこまで変貌してしまうと自分が嘗て住んでいたという感覚は得られそうにないなと思ってしまった。いや住んでいた時分の人間関係が残っていればそれはそれでふるさとなんだろうが、人まで変わってたらそれは別の土地だろ。
 さて、遊園地なんだが、入り口の様子が昔と変わってないという仕掛けにはホロリとさせられた。その上での内部の衰退振りだからどう考えても狙ってたゞろというのはともかくとして、昔と変わらない様子を維持するのは、それはそれで大変だったりする。周囲の土地を売って縮小してきたということだが、あらためて確認すると、第一回の改装で滅茶苦茶規模が縮小されてある意味ワロタ。そのときのジェットコースターの描写を見るとそれほど考え込まれていないんだろうなとは思いながら、コーヒーカップだけになる前はお化け屋敷*1と動物の見世物小屋という、維持コストがゝゝりそうなのが残っていたのに考えさせられる。
 本来たまゆら曜日に書くべきなんだろうけど、作品中でも述べられていた通り、ディズニーとの比較など、地域おこしについて考えさせられる。入り口の維持からすると、ノスタルジー商売ってことも考えられるのだが、経営者が跡地で歓楽街商売で成功したらしいということも考えると、きっと商売のコツはわかっていた上で、遊園地をできるだけ維持していきたかったという彼の気持ちが想像できるだけに、最后まで戦っていたんだろうなと思ってしまう。全国のテーマパークがバブル以降雨後の筍のように出来てはことごとく失敗しているのを見ると、ディズニーはなんであそこまで集客能力があるのか?と不思議に思わざるを得ない。確かに遊具の質は最高品質なんだろうけど、宙返り連続三回転など日本一の遊具を誇った遊園地は他にもあったわけで、世界観の統一は確かにディズニーは上手いとはいえ、一人勝ちなのはなんでだろ?と思う。
 本場合衆国だと、それなりに文化が観客に寄り添う形になっているらしく、そういった意味で本国で隆盛するのはわかるんだが、日本文化とは一線を画すだろ。むしろイメージを壊すような日本文化との融合は拒絶しているらしいし、子供が子供騙しに引っかゝるのはまだしも、大人が仮想設定にのめりこんでリピーターと化すのは傍目で見ていて違和感がある。自分も一度仕事で行ったことがあるが、確かに他の遊園地とは質が違っていたが、概念的にいえばやはり遊園地の域を出ておらず、何度も行くべき場所のようにも思えなかった。
 まぁ日本人の「巨人・大鵬・玉子焼き」と言われた、No.1に群がる性質だとか、交通機関の発達で集客インフラが昔より整ったとかいろいろ理由は考えられるんだけど、問題はなぜディズニーが一人勝ちしたのか?というよりは、「ディズニーが一人勝ちすることによって二番手以降が壊滅的打撃を受ける」ことによって多様性が失われたということなんだよな。そしてディズニーを急追するフォロワーが全然出てこなくなるという悪循環。オランダ村レオマワールドも破綻したし、チボリもなくなった。そりゃオランダって国にどれだけの日本国民が愛着を感じているのか?とか、レオマのキャラクターも定着に失敗したとか、ダメな理由は数挙げられる*2んだが、いざ無くなってみれば遊びに行く場がディズニー一択になるという悲劇があらわれる。
 こういうのはプロ野球にもみられることであって、まぁそれでも地元に球団がない地方はほゞ全員が巨人ファンではあったわけだが、その読売が資金力に飽かせてスター選手を買い漁り、強いのは巨人だけという状態にしてしまって、試合に魅力が無くなって*3サッカーに顧客を奪われてしまったという状態だ。で、野球は未だにテレヴィ視聴率の低迷から脱却することが出来ないという状態。まぁ自分に言わせれば野球が国技とまで言われる状態なんてのはやはり異常だとも思うのであり、ある意味スポーツの地位が平準化されたというのは望ましいとも思うんだが、じゃぁ国民のスポーツに対する関心というリソースが分散した結果、どのスポーツも小ぶりになってしまうということが果たして正しいかどうかもわかんない。
 しかし、このような、「競争によってNo.1が他を淘汰した結果、その分野全体が衰退してしまう」という構造はけっこうふんだんにみられることである。自分がかねてより主張している東京一極集中が地方を衰退させ、末には日本全体が落ち込んでしまうという構造からしてまったく一緒というか。一人勝ちの構造が腐敗利権構造を作ってしまうというのは自民盗を見ればあきらかだし、独占がいゝわけでもなく、かといって分散すると効率も落ちるしで、均整の取れた並立構造ってどうやればいゝのかね?と思ってしまう。政府が規制をするのも不自然だとわかってしまったし、かといって業界が足並みをそろえるってのもどうなんかね?といった話になる。
 しかし、なんど考えても競争で他を喰いあった結果、栄子が憤慨したように後に残るのは露骨な下半身目当ての文化ってのも避けたいところだわねぇ。

*1:今ドキだと人形は機械仕掛けで動くだろうからそんなに人件費はかゝっていないのかもしれないが

*2:じゃぁそれらの関係者の頑張りが足りなかったのか?と言われゝばかなり微妙だ。というかどのような努力をしたらオランダ村やレオマチボリが大繁盛したのか、その方法が後付けでもあるんだったら教えてもらいたいぐらいだ。

*3:注意して欲しいのは別に技術が衰退したわけではなく、プレー自体は向上しているし選手のレヴェルは上がっているのに…である