Blood-C 第9話

 そうそう、CLAMPって時真のような対応が好きなんだろうな。
 なんかわかるっていうか。といっても自分がそうしたいとか言うんじゃなくて、自分が中高大学生の頃のドラマってあんな感じのが多かったんだよね。むしろ犬のような対応はあんまり見なかったような。いや、犬のような対応をしてたかもしれないんだけど、自分の記憶に無いだけかも。が、小夜に取らせた反応を見れば、CLAMPが実はどちらの対応を是としているのかは明らかなような気はする。気がするだけだが。
 しかし壮絶だったな。小夜が指摘していたように1クラスだけの登校ということを考えれば狙いは小夜自身なんだろうとは思うのだが、よくわからんな。まぁ自分にしたって、他のクラスに人が居ないなぐらいにしか思わなかったので、深く考えずに視聴していたわけなんだが。優花が退場し、まさかあの状況で委員長が生き残るとは思わなかったが、時真のライヴァルとして残しているのか?。なんか委員長も味方かどうかわかんないし、時真も好きという割にはあまり味方っぽい雰囲気が漂っていないというか。
 小夜に母の記憶が無いということで、どうも前に視聴したBLOOD+のことを思い出した。小夜は永遠の命を持っていて、BLOOD+でも墓で眠って居たんだよな。で、時宜を見計らってよっこらせと起き出してきてトラブルシューターとして働くという。BLOOD+では敵はユダ金だったが、そう考えるとこのBLOOD-Cでの小夜の敵も日本の特権階級ってので間違いないのかな?。やはり未だに確定できないのではあるが。BLOOD+では敵は吸血鬼で、小夜も吸血鬼だったし、そうなるとこのBLOOD-Cで小夜が神社の巫女という形を取っているということは、敵はおそらくそういうことなんだろうなと思いながらもなかなかそういうところまで誘導するって形はとっていないような気がするな。
 BLOOD+が吸血鬼に噛まれた人間はまた吸血鬼になり、その果ては全世界中の人間がそうなるって暗示があったろう。各地で穏やかな生活をしていた人達が吸血鬼にさせられて他人を襲うという形は、欲望を掻き立てられて世界中の人間が強欲資本主義に巻き込まれていくというメタファーだったような気がするのだが、この作品だとホント人間は特権階級のエサでしかなく、いや、エサにもされず惨たらしく命を奪われてたりするからな。
 そう考えると小夜と彼女を取り巻くキャラのドラマを描いているっていうよりは、ドラマを通じて現代社会の構造を提示するって作品と考えてよさそうな気はする。死もあっさりしているし、殺される側の人間も自立していないというか、自分の置かれている状況に対してあまりに受身で他責的で恩知らずであり、本当に守られるべき存在なのか?とすら思わされる。今回の優花や委員長にいたって初めてしっかりした人間が犠牲にという流れだもんな。ドラマの部分は社会構造を描くための味付け程度というか。でもドラマがぞんざいな扱いだからといってこの作品に魅力がないというわけではなく、むしろ視聴者に、「社会の現実ってこんな感じなんだけど、あなたはどういう態度でコミットしていくの?」というつきつけを行っているのであり、生きるということについての問いかけはなかなか切れ込んでくるものがある。