強欲な民族、そうでない民族。

 仕事中にぼんやり考えていたのが、どうせ貿易なんて人口が飽和してしまえば意味が無くなるという前述の部分と、貿易が無くなって国が自給自足をせざるを得なくなったら、それに適応する国とできない国があるんだろうなという部分の2つだ。後ろの部分が民族性なんじゃないか?ということに集約される。要するに貿易ができないなら自国でやっていこうとする国と、いや貿易で解決できないから今までどおり他国から奪おうとする国に集約されるってことだ。
 よく沖縄在日基地問題で中国に対する抑止力なんてのが言われているのだが、世界史を紐解いてみると長い歴史の中ではかなり異質なことだと言わざるを得ない。中国ってそんなに侵略的な国だったっけ?というのが率直な思いだ。中国ってのは中華思想に見られるとおり、自分たちが世界で一番といった傲慢な国ではあるんだが、朝貢貿易という形式に見られるとおり、やつらを崇め奉っておけば与えた以上のものを返してくれる太っ腹の民族でもある。で、歴史的にみれば異民族の侵攻に悩まされてもおり、他民族の征伐というよりは自国の保全に努めてきたという印象がある。他国に侵略するにしても、それは将来の脅威を取り除くという側面が大きく、侵略の件数は内乱によるものよりも少ないように感じる。日本もかつて中国には元寇として侵略されそうになったが、あれだって元の使者を鎌倉が切って捨てたからであり、漢民族とは違うメンタリティでもあったろう。たゞ、現代中国がそうか?と言われゝば、やはりそれは違うとは思う。が、それは多分に民族性というよりは、資本主義という欧米式の所業なんじゃないかと思うのである。
 で、朝鮮だ。朝鮮は大国に翻弄されたというイメージはあるが、あまり他国に侵略したという印象はない。今北朝鮮が吼えているが、デモンストレーションでしかなく、韓国とのイザコザも「それ、内乱じゃね?」で済む問題だ。
 日本もあまり民族として侵略性があると言いづらい。飛鳥・奈良時代と、豊臣秀吉が朝鮮にちょっかいをかけたぐらいで、国内で喰い詰めたから他国から奪って解消って歴史は見当たらない。が、明治以降となると話は別だ。やはり近代化を取り入れてから国に侵略性が出てきたといわざるを得ない。日清・日露戦争がまだ分別のある終わり方をしたのも、当事者がまだ近代化を取り入れる前のメンタリティを持っていたからで、近代化を取り入れて以降の生まれが指導者になってからは欧米式のごうつくばりになってしまっている。
 ちょっと長くなりそうなんで羅列だけにしておくが、まだまだ不勉強のため後から思い直すのはご承知願いたい。南米北米の原住民はあまり他国への侵略といったイメージが無いし、イスラムイスラム大帝国を作って以降はあまり他国侵略のイメージがない。モンゴルも元以降牙を抜かれたようになってしまっているし、ペルシア(イスラム圏だが今のイランと考えてよいだろう)もペルシア帝国以降はそれほど侵略意図が見られない。東南アジアも勃興が激しいが、地域勢力の均衡で終始しているように見受けられる。アフリカも地中海沿岸以外は植民地にされて以降は世界的な発言力自体が無いし、それ以前でも地域勢力の域を出ないように見受けられる。トルコがちょっと判断つきにくいな。元々中国の北辺にいた突厥が移動に移動を繰り返してテュルク→トルコだろ。一時期は西欧を脅かす存在となっていたのだが、西欧の近代化の進展により勢力を失ったとみるべきか。オスマン帝国時代は外征よりはイスラム圏内での覇権争いって印象だけど自信がない。
 そうなのだ。やはり癌なのは西欧なのだ。なんか奴らはいつも飢えていて、モノがなきゃ他国から奪って解消ってのが多いような気がする。絶えず戦争ばっかしてたしな。他の地域の歴史に疎いので断言はしにくいのだが、疫病不作で人口変動が大きかったのが西欧だろ。ギリシャ時代はまだ地域紛争って側面が強かったが、それでもアレキサンドロスはインドまで到達したし、ローマ帝国カルタゴに対する制裁に見られるとおり、やはり侵略性の高い乱暴な民族って感じがする。イギリスの腹黒紳士ぶりは有名だし、ゲルマン民族の野蛮性も考えられる、フランス革命に見られるとおり地の好きな民族だなぁと思うし、ロシアの東方征服、南下政策を見るにつけ、いや多分モンゴル帝国の侵略でスラヴとの混血も原因に挙げられようが、やはりあれほど侵略が好きで信頼の置けない民族ってのも納得のいく話しだ。合衆国なんて欧米の喰い詰めモノの逃避先で、原住民から受けた恩を仇で返してきた国民性だしな。もうね、欧米の民族って歴史を振り返れば振り返るほど迷惑以外の何者でもないって印象が強い。で、彼らのやってきたことが、武器を使って相手を脅し、西欧式の手前勝手なルールの押し付けをやってきたんだろ。その武力の優位性を確保したのが近代化であり、モノの効率的な収奪法を助けたのが資本主義だ。
 いやね、日本も近代化や資本主義をまともに受け止めなかったらどんな歴史を辿っていたのか興味は深いところではある。江戸中期以降日本国で養えないとなると人口増加は抑えられていたのであり、かつ鎖国でやっていけていたのである。貿易は極々限られた範囲であり、国民が飢えていたから他国から奪えという発想は無かった。が、やはり停滞した社会であることは間違いなく、それがよかったのかどうかは判断はつかない。近代化も西欧から輸入してきたが、江戸後期には生産様式も家内制手工業やら問屋制手工業になってきていたから、化石燃料を使う外部動力に頼らないにしてもある程度の工業化、効率化は進んでいたわけだ。資本主義にしても、元禄以降のバブル崩壊後のやりとりをみるにつけ、やはり商品経済の発達によって格差は拡大しつゝあったのであり、西欧の資本主義とは違った道のりではあろうが、それなりに問題は深刻化していただろうとは推測される。
 が、貿易収支だの外征による資源調達だのを利用することなく、国内の生産・流通の範囲内での発達だったと思う。国内での矛盾をた易く他国から奪うことによって解決してきたのが欧米であり、それ以外の国は大体国内での矛盾は国内で解決しようとしてきたんじゃないかと思うのである。欧米は他国から奪うことを正当化するために軍隊という暴力装置を作って「先進国とそれ以外」という構造を作ってきたのであり、それを支えたのが近代化と資本主義なんじゃないかと思うのである。だからそれに溺れた国は早晩欧米と同じような侵略性を帯びてくるんじゃないかというのが上述のWWⅡ以降の中国、日露戦争以降の日本だったりするんじゃないかと。そして今資本主義と近代化に溺れて危なそうな国がインドなんだろうなという気がしてならないのだ。人口も爆発してるし、危険も危険。
 いや、ホント、だからといって社会主義共産主義が良いわけでもないんだけど、資本主義とか、近代化とか、ダメっていうほどでもないが、かなり見直さなきゃいけない時期に来てると思うがね。でそれを支えてきた欧米の民族性とか、大々的に反省してもらわなきゃね。