Steins;Gate 第13話

 ほんっっとぉーにゲーム的だな。
 セーブポイントに戻ってやり直しの繰り返しってのがね。最初のタイムリープは切羽詰ってたからともかく、次はもうちょっと時間に余裕を持ってタイムリープしろよとかいろいろ思っちゃうんだけど、なんだろうな?、ちょっと評価には困るな。とにかく大事な人を助けたいという切羽詰った状況があって、許される手段を使って手を尽くしてもまゆしーが殺されるという結果が変わらないという無力感は伝わってくるし、どうあがいたってセルンのような巨大な組織に手を廻されて追いつめられるという現代性もまた伝わってくる。幼女に突き落とされたのだって、フツーありえない行為であり、目付きが尋常でなかったから、たぶん他人に操られていたんだろうと想像してのことだが。世界線を超越した存在におかりんが救世主としての資質を試されているという視点もあって、ホント判断が難しい。
 でもまぁこの作品がそもそもオタクに向けた、「やりなおしができるという設定でわざと視聴者におかりんの後先考えない行為を見せ、そしてやりなおして結果は変えられるということを示し、日々全力で生きることを説く」というものであるからして、今回もその流れを汲むものになっていると思う。今までのメール送信は数日前というスパンだったわけで、今回だともっと跳ぶ時間が短くなっており、しかもかなり出来事としては濃い瞬間である。その短い時間をいかに有効利用するか?がテーマなんだろう。おかりんもやり直し一回目よりは二回目のほうがよりスマートな判断を下して*1おり、彼の成長ぶりは示せている。なんつーか、まゆしーが何故捕まらなかったのか?がやり直し2回目で明かされており、なんつーか、これまた裏ルート発見という考え方がまたゲーム的ではあるが。
 たしかにおかりんの行動は、やれ厨に病的なかっこつけをするぐらいなら初めっからそんなの捨てゝ日々を大切に生きろよというものではあるんだけど、決して日々を無駄使いするような生き方ではないんだよな。ちょっと世間的なものとはズれているだけで。だからやり直しといっても「どうせ上手くいかなくてもリセットボタンを押せばいくらでも元に戻れるじゃん」的なものではない。だから自分は今までこの作品がオタク向けだと言ってきたのではあるんだけど、実はやはり一般性があるという気がしている。現に今まで自民盗独裁が続いてきて、国民的には諦めモードだったんだけど、投票行動で政権交代を果たすことが出来たじゃないか!というのにも現れている。じゃぁ替わった民主党がよかったか?と言われゝば、やはりこれも国民としては最善の選択ではなかったわけだ。確かに自民盗独裁が終わった事はよかったことで間違いなかったんだけど、ではこの民主党政権の体たらくを考慮すると、もっとほかに国民としてなにをしてればよかったのか?という風に今後のことをもっと切実に考えることができるようになったわけだ。じゃぁもっと前に戻って軍国主義がどうだのというのは確かにそういう考え方もできるが、今の生活を変えるというリアリティを考えると、現実的ではない。やはり今を変えるには今の状況に近い、実際に後戻りのできる範囲でじゃないとプラグマティックなものにはならないわけだ。そしてそういうのは政治に限らず、身の回りにたくさん事例は転がっている。そういう意味で別にオタクだけじゃなくって、一般人全員に「果たして今送っている生活は、ギリギリに考え抜いた結果としてのものなのか?、本当はもっとより充実した生活が送れるはずなのに、周囲のだらけた状況に流されて自分を見失っていやしないか?」という問いかけでもあるのだろう。まぁ本当に人間生きていく上で一分一秒たりとも何事につけても考え抜くという、気を張り詰めた生活をしなくちゃならないのか?と言われると、まぁ肩の力を抜いてもっと気楽にやろうや的なものがあって然るべきなのだが、まぁ一般性はあるといってもターゲット層は青少年男女なわけで、まぁその年齢層なら成長期だから日々努力しろよというのは間違ってない。
 しかしなんだな、世界線を移動したゞけって話だから、いくらタイムリープしたところで、跳躍前の、まゆしーや紅莉栖が死んだという世界もあるわけで、結局おかりんはそういう世界から逃げた(少なくとも劇中の彼はまゆしーや紅莉栖が殺されていなくなった世界のその後を見ていないわけであるからして)わけで、やはり客観的に考えると都合の悪い結果を忌避してのやり直しという構造であることには変わりがない。おかりんが跳躍することで視聴者もその都合の悪い結果、特に大切な人を失った後の寂しい毎日を目にしないで済むから悲壮観は半減してはいるんだよ。かといってそういう後始末の部分を描くわけにもいかず、そのへんの悲しみや辛さの大きさはあくまで視聴者の想像力に任されていると見るべきだろう。

*1:一回目で紅莉栖を救えており、また2回目ももうちょっとのところでまゆしーを救えかけていた