フリージング 第1話

 アイキャッチの場違いな絵柄にビックリ。
 あと、それと不必要なパンチラに、パンチラを誘発するコスの不自然さ。ちょっとした表情にも変化をつけているんだが、この作品ってエロというよりは萌えを重視しているらしい。
 ん〜、実はこの作品を感想対象として視聴するのはかなり抵抗があった。原作者が黒神の人っていうのを聞いていて、黒神自体は出来は悪くないんだけど日本的感覚だと一昔前のテイストで、微妙なところがあったからだ。韓国人ってことで納得するのだが、韓国ドラマってのは自分の認識だと日本のドラマの焼き直しが多いというイメージが先行する。冬ソナもネタで途中をチョイ見したことがあるのだが、友人の指摘通り'80年代の日本のドラマそのものといった感じだった。だからといってクォリティが低いわけでもなくって、よくできていた。あぁなるほど、オバちゃん連中はこのドラマを見て、彼女達の若い頃や日本の豊かだった時代を懐かしんでるんだなと妙に納得したものだ。
 で、最初の場面で着替えシーンとはなんとあざといのかと、自分の予感が当たったような気がしてげんなりした。で、人殺しの場面。なんかやってらんないなーとか思って、ストーリーは流し気味で理由を考えてみると、朧げながら意図が見えてきたような気がして、今結構好印象な作品であったりする。
 まず、格闘訓練の異常さだ。基本相手を実際に殺すところまでを実戦としてやるらしい。で、致命傷を負っても何とかシステムとやらで傷の一つも残らないで回復するというもの。コレ、世界中のどの軍隊、それも最も厳しい訓練をするといわれる特殊部隊でもやらないことだ。実戦として殺しを目的とする武道が小説や漫画のネタとして取り上げられたりすることもあるが、世界中どこを探しても、稽古では寸止めであって、いくら大会であるといっても本当に相手を殺すところまでやるものは無い。
 要するにコレって、「人を実際に殺すところまで追いつめないと自分が追いつめられる現代」のメタファーだろってことだ。昔だって飢饉の時であれば他人を殺してその肉を喰らうということもあったろうし、世界大恐慌というか、日本であれば資本主義の勃興期あたりは、バンバン馘なんてあったわけなんだが、現代は昔に較べて豊かになっているはずなのに、バブル以降リストラという名の馘が横行している。で、自民盗や経団連が美味い汁を吸うために労働者に不利な法律が作られ、残業代0法案だの人をドンドン馘にできる法案が乱発*1され、人を使い捨てにできる世の中になってきた。過労死が多いことや、企業や組織に責任があっても司法は権力者の味方であるってのは、実は昔からであるというのも前に述べたが、現在も依然酷い。特に子鼠政権以降経営判断ミスのつけを現場の馘で乗り切ってきた例がとても多い。そして労働者は非正規雇用という使い捨て。やることは正社員もしくは正社員より危険度が高いのに報酬は雀の涙ってのは、こんどの大震災原発災害での現場作業員の様子を見ていると明らか。自分が生き残るためには現場の足を引っ張って責任を負わせるなんてことを平気で行う管理職がおり、また、そういう管理職が現場同士でいがみあわせるために競争原理を持ち込むのだ。そういう時代背景と、この作品社会ってのは驚くほど構造が一致する。
 で、致命傷を負っても回復するってのは、現代医療の発達で生命という意味では生き残る確率が昔よりは上がっているというのをさしているのだろうか。生き残っても植物状態とかってのはかなりあるわけなんだが。たゞ、跡形も無く完治するにしても一生癒えない傷が残るにせよ、治療行為にかゝるコストは莫大だよねって構造も同じような感じだ。昭和中期の企業スポーツのゝどかな時代は過ぎ去り、一流アスリートを育てる、もしくは維持する、もしくは怪我をしたときには治療するわけだが、そのコストは莫大だ。だからこそ余裕のない企業は早々とスポーツ部門をバブル期以降切り捨てゝきたわけなんだが。
 っつーわけで、世界設定がどうも現代の厳しい状況と一致させているらしいってとこが見えると、こちらとしても視聴に身が入るわけなんだが、ストーリーがどのように転がっていくかについては未知数だ。なんちゃらシステムってのも説明されてもよくわかってないし、あんまりわかろうとも思わないんだが、そういう設定の煩雑さや、あざといキャラ配置など不安要素もあるにはある。黒神のときもそうだったような気がするんだが、クライマックスはこっ恥ずかしいながらも盛り上がってはいたので、そういうところは期待してもいゝのかな?。まぁ途中飽きても惰性で視聴は続けると思う。

*1:ガチの法案が通らなくても、現実残業代は払われていないし、馘が抑制されることもない