スターシップ・オペレーターズ〈4〉 (電撃文庫)

 今回は前回の戦いの続き、補給の実施まで、漂流船との遭遇、シノンの恋愛あたりか。全体的にインターミッション風で緊張感から解きほぐされたという印象を受けた。
 ん〜、原作を読むにあたって、自分の感想なりアニメ版を目にしないという条件を課しているんだが、アニメ版がどうだったか記憶があやふやだ。で、あやふやのまゝいろいろ書き殴っていくわけなんだが、たしかアマテラスの反乱には黒幕がいたということだったのだが、アニメ版ではほのめかしで終わっていたと思う。原作ではそれがいよいよ天才少年科学士官シメイであったと明かされていた。が、あくまで彼はアマテラスの反乱で国連軍の介入が期待できる可能性が高いと指摘しただけで、実際に反乱を決定したのはリオやキスカであるという形になっていた。原作を読む限り、シメイが反乱をおこすような動機が一切提示されておらず、また年若でありながら士官になって人工知能を意のまゝに扱う彼に動機があるとも思えない。
 あと、シノンの恋愛なんだが、アニメ版って、仲良くなった相手が死んでなかったっけ?。この作品が若者の厳しい現実を生きる若者への応援歌的ものであるとして、その厳しい現実を示すためにアニメ版では死*1を取り入れたと思っている。シノンは「戦いが終わったらあらためて誘ってくれ」といかにも死亡フラグ的台詞を吐いてこの巻が終わるのだが、全般的にこの作品は前向きな作風なので第5巻以降相手が死ぬような感じはしない。
 というか恋愛描写があっさりだなぁ。作者が下手なのか、それともわざと情感を抑制しているのかわかんないが、おっさん的にはちょっと物足りない。が、この作品がジュブナイルSFな感じなので正解だと思う。自分が中高生の時、戦争映画なんかで濡れ場があったりすると邪魔だと感じたが、あゝいうのを避けたんだろう。まぁ閉鎖的環境で、ヒマを持て余した若者たちがやることといえば欲望の発散なわけで、どこもかしこもサカっているところを見せつけられても仕方が無い。
 しかしなんだな、動きが少ないだけに退屈してもよさそうなもんだが、流れで読んでいるせいか違和感無くするっと読めてしまう。でも冷静に見返してみるとそんなに面白いエピソードでもないんだよね。熱い語りがあるわけでもないし。漂流船のエピソードでいろいろ考えさせられる部分はあったんだけど、トップをねらえのオマージュっぽくて作者の本気が今一感じられなかった。あとがきを読むと遅筆のお許しがあったのだが、第一部終了ということもあり、このシリーズにそろそろ飽きがきたのかな?と思わなくもなかった。

*1:現実の死ではなく、就職できないとか就職してもスグに会社に切り捨てられて解雇されるという行為のメタファーとして