オオカミさんと七人の仲間たち 第12話

 結局魔女担当回は無かったな。
 他の女をアテ馬にして、亮士と涼子の絆を再確認するの巻。フツーにいゝお話で終わってた。亮士が実はかなり周囲に配慮して行動しているのがわかってかなりビックリ。亮士がマチ子に呼び出されたとき、涼子がついてきていたのをわかってたみたいだしな。侮れん。で、涼子がまた恋する乙女として、すごくかわいゝ描写なんだよ。で、主題の相互扶助というのが最後にクローズアップされていて感心した。貸し借りの目的は一体何のためにあるのか?、それは金融でいう利潤の追求では決してないって主張がちゃんと最后に仕込まれていたワケだ。
 いやはやなんとも終わるのが惜しい作品だな。体裁はオーソドックスなラヴコメで、ストーリーはお遊び的要素が大きいんだが、非常にバランスの良い作り。現代風なのも不自然でなかったし、大きな物語ではないものゝ、対立組織を配置して平坦になってしまうのを防いでいた。前にも述べたような気がするんだが、いろんな昔話を掘り起こしてきて気軽に楽しむのにはちょうどいゝ。
 さて、相互扶助といえば、前に村の生活の記録〈下〉上伊那の明治・大正・昭和 (1981年) (刀水歴史全書〈11〉)の話をしたが、今読み返してみるとだいぶ違っていた。もともとは江戸時代に行われていた備荒貯穀の制度を改良したものだということだ。つまり凶荒飢饉に備えて、あらかじめ貯蔵しておき、万が一の場合それを利用するというものだ。それが貯蔵するのが穀物だと欠損補填の労が大きく、カネのほうが他から買い付けもできるので便利であるから、カネの貸付になっていったそうだ。

 農民の生活は、秋の収穫後地主や一年間の受容を自給できる自作等は別として、小さい自作小作等は年貢麻衣を収めた以外は全部冬中の自家用の食料とせざるを得ないのである。それゆえ家族の多い者などは早く米がなくなり、信州でも殊に寒いこの小野村では冬仕事も少なく、したがって収入も僅少のため、年末その他の金の入用の時は、この不足がちな米さえ売って金融に当てるのである。したがって四月頃となると米は僅少となり、しかも畑作物や副業の養蚕の売り上げもまだ出来ない時期であるから、五月から六月にかけては農民の最も苦しい時期となるのである。その上この時期は田畑の仕付期で最も多忙の季節である。毎年繰返されるこの苦しみを見た当時の役員は、単なる備荒のために貯穀するという本来の制度を改め、仕付米と称して、米一俵に限り希望する会員に貸付けたのである。一般には地主によって、自家の小作に対して仕付米を貸付ける風習は従前から存したのであるが、この積極的な働きは小農にとっては誠に当を得た救済策であった。この貸付米は八月、九月等の繭の売上によって回収することとしたのである。ところが心配した回収も、何分にも自分の村の共同の物であり、しかも毎日顔を合せる者同士が同じ会員であるから、返済を怠る者もなく完全な回収が出来たのであった。

 名は正式には信州上伊那郡小野村雨沢部相互救済会だそうだ。で、この物語も会員が急用の助けを欲していれば支援し、あとから借りを返してもらうという形になっている。しかも資本はさすがに上に頼ってはいるものゝ、運営は自治であるところは一緒なんだよね。原作者とかこういう事例を知った上で御伽銀行を設定しているのかな。まぁそれはともかく、えらいバックグラウンドがあることにはビックリした。こういう設定があるというだけでも一押しだ。
 というわけで、自分的には続編をぜひ希望したいところだが、まぁ無理だろう。ホントこういうのこそサザエさんっぽく長寿番組にしたらいゝのになと思った。魅力的なキャラ達に、誰にでも勇気を持てそうなヴァイタリティを分けてくれるこの作品には楽しませてもらいましたよ。さすがに萌え描写の強調で名作評価は無理だが、自分的にはかなり評価の高い作品。おもろ+。